出典:YouTube
2018年5月にリリースされたLauvのセルフ表現的デビュー作『I met you when I was 18. (the playlist)』は、「決まってはいないプレイリスト」として制作され、恋愛・成長・アイデンティティを断片的に描く構成が特徴です。ストリーミング世代に応じた形式をとりながら、曲ごとにテーマとエモーションがしっかり焦点化され、約1時間のライフストーリーを紡ぐアルバム作品として受け止められています。
Billboard 200では50位を記録、日本を含む世界でもゴールド認定され、SNSを通じた若者の共感が後押ししました。
- アーティストについて
- アルバムの特徴・個性
- 『I met you when I was 18. (the playlist)』全曲レビュー
- こんな人におすすめ!
- 同じ系統の楽曲・アルバム5選
- この記事で紹介したアルバム
- まとめ
🎧 Amazon Music Unlimitedで『I met you when I was 18. (the playlist)』を聴く
アーティストについて
Lauv(本名 Ari Staprans Leff)は、アメリカ出身のシンガーソングライターであり、プロデューサーでもあります。
特徴的なのは、彼が音楽を“極めてパーソナルな体験”として描くこと。繊細なメロディとエレクトロニカを基調にしたサウンドを武器に、恋愛の光と影を等身大の言葉で綴ることで、多くの若い世代の共感を集めました。特に「I Like Me Better」は、世界的に大ヒットし、彼の代表曲となりました。
アルバムの特徴・個性
『I met you when I was 18.』は、ひとりの若者の「愛の始まりから別れ、そして再生まで」の物語を描いた作品です。
音楽的には、ポップス、R&B、エレクトロ、シンセポップを絶妙に融合させ、ミニマルなトラックと繊細な歌声で聴き手を包み込みます。打ち込みのビートやドリーミーなシンセサウンドを多用しつつ、過剰にならず、あくまで「心情の響き」に寄り添う音像が特徴的です。
『I met you when I was 18. (the playlist)』全曲レビュー
1. I Like Me Better
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ジャンル:エレクトロ・ポップ
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特徴:Lauv最大のヒット曲であり、このアルバムの象徴ともいえるナンバー。軽快なシンセのリフとビートに乗せて「君と一緒の時の自分が一番好き」というテーマを描いており、シンプルながらも幸福感に満ち溢れている。恋愛初期のきらめきを完璧に音にした楽曲。
2. Paris in the Rain
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ジャンル:インディー・ポップ
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特徴:ジャジーでロマンティックなテイストを取り入れたラブソング。雨のパリという情景が比喩として使われ、特別な場所ではなく「君と一緒ならどこでも幸せ」という普遍的な愛情が歌われている。温かみのあるボーカルが印象的。
3. Comfortable
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ジャンル:R&Bポップ
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特徴:恋愛関係が安定期に入り、情熱が落ち着き始める微妙な感覚を歌ったナンバーである。安らぎと惰性の狭間を表現する歌詞がリアルで、多くのリスナーの共感を呼ぶ。
4. Paranoid
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ジャンル:ポップ / エレクトロ
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特徴:恋愛における不安や嫉妬心を描いた曲。軽やかなメロディとは裏腹に、心の中の疑念やパラノイア的感情が込められている。
5. The Other
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ジャンル:エレクトロ・ポップ / インディー・ポップ
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特徴:失恋を描いた切ない楽曲である。ミニマルなトラックの上に、孤独感漂う歌詞が乗り、ラウヴの繊細な声が胸に刺さる。愛が終わったあとの空虚さを淡々と描写している。
6. Reforget
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ジャンル:シンセポップ
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特徴:タイトル通り「忘れることを忘れたい」という感情を描いた楽曲。トラックはシンプルながらもリズミカルで、心の中の葛藤を体現するかのようにビートが響く。
7. The Story Never Ends
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ジャンル:エモポップ
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特徴:“Crash the car, blame the road”という強烈な比喩が肉体的な比喩以上の比喩的リアリティを放つ。自身の言葉が刺さる葛藤を歌い、サビでの高揚を伴った主体性が経験の渦そのものを具現化している。
8. Enemies
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ジャンル:ステレオポップ
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特徴:友人や恋人との関係が敵対的になってしまう痛みを歌った楽曲である。シンプルなアレンジだからこそ、歌詞の切実さが強調される。
9. Come Back Home
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ジャンル:ポップバラード
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特徴:「彼女=居場所」という詩的構成で感情に寄り添い、サビのギターとピアノの絡みが深化する。曲展開による感情の波と歌詞の真摯さが心を掴む佳曲。
10. Question feat. Travis Mills
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ジャンル:エレクトロ・ポップ/トラップ寄り
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特徴:相手に聞けない疑問や心の声を表現した曲。ソフトで親密なボーカルとメロディが印象的である。
11. Easy Love
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ジャンル:エレクトロ・ポップ
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特徴:愛が難しくなってしまう現代的な人間関係をテーマにした楽曲。無垢な愛への憧れと現実のギャップを、浮遊感のあるトラックで表現している。
12. Adrenaline
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ジャンル:ダンスポップ
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特徴:恋愛における高揚感やスリルを描いた楽曲。エネルギッシュなリズムが、まさにアドレナリンが駆け巡る感覚を表現している。
13. Chasing Fire
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ジャンル:エレクトロ・ポップ
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特徴:危うい恋愛を続けてしまう心情を描いた曲。タイトルの「火を追いかける」という比喩が、情熱と破滅の両方を示しており、熱量のあるメロディがそれを際立たせている。
14. Breathe
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ジャンル:アンビエント・ポップ
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特徴:恋愛や人生における息苦しさと、それでも呼吸を続けていくことを重ねた楽曲である。トラックの広がりが「呼吸する感覚」を音楽的に体現している。
15. Bracelet
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ジャンル:ポップ
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特徴:別れた恋人の痕跡(ブレスレット)にまつわる記憶を描く。軽やかなトラックに切ない歌詞が重なり、甘酸っぱさを伴う。
16. Getting Over You
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ジャンル:ポップ
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特徴:“繰り返し”という構造を用い、恋の忘却と執着の間を揺れる心情をリズムに乗せる。ギターが第二ヴァースを押し上げ、Lauvの声が切なさと強さを併せ持つ。
17. Never Not
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ジャンル:インディー・ポップ
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特徴:“ずっと”というフレーズで永続する愛を宣言するラストナンバー。ピアノと伴奏ビートが静かに最後を支え、アルバム全体の余韻を暖かく包むフィナーレとして機能する。
こんな人におすすめ!
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恋愛の浮遊感と不安を共感しながら聴きたい人
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自身の物語性を感じられる“ストーリー性あるプレイリスト”に惹かれる人
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ベッドルーム・ポップやエレクトロポップの温かい質感が好きな人
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DIY感のあるプロダクションと、正直なリリックが心に響く人
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シングルではなくアルバム全体を物語として捉えたいポップファン
同じ系統の楽曲・アルバム5選
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Charlie Puth『Voicenotes』
Doo‑wop〜ソウル寄りボーカルをエレクトロニック・サウンドと融合し、LO‐FI録音風の親密さと現代ポップの洗練を共存させた。青春期のコミュニケーションの揺れを描き、Lauvと共鳴する構造。
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Chelsea Cutler『Your Shirt』
ボーカル主体のインディーポップとR&Bビートをミックスし、恋愛の喪失と再生を柔らかく語る。Lauv同様、デジタル時代の感情を優しく包む音像が魅力。
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Julia Michaels『Inner Monologue Part 1』
曲ごとに異なる楽曲構造を持ちながら、全体を通して“個人的な告白”として統一されたEP。シンプルなビートと繊細な歌詞によって、ベッドルーム・ポップとも呼応する作品。
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HONNE『Love Me/Love Me Not (Sessions)』
サウンドと歌詞の間に「抵抗と愛」が同居し、Lauvのように個人的な感情を音響で表すアプローチをとる。80〜90年代ニュージャックスウィングの質感と、ベッドルーム・ポップの親密性を合わせ持つ。
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LANY『Malibu Nights』
夜と青春を思わせる水彩画のようなアートワーク――そのまま“夜の思い出歌”として繊細な歌詞とシンプルなサウンドで描き切る構成は、Lauvが提示したプレイリストの感情構造にも通じる。
この記事で紹介したアルバム
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まとめ
『I met you when I was 18. (the playlist)』は、17曲という長い構成でも一本の青春ストーリーとして成立する希有な作品です。Lauvは個人的な感情を歌にしながら、聴き手にもその経験をなぞらせる語りの才能があります。
シングルヒットとともに、伸びやかなメロディと心情描写を併せ持つこの作品は、恋愛初期の揺れや心の軌跡を丁寧に描くポップ叙事詩とも呼べる名作です。
