出典:YouTube
EDMブームが最高潮を迎えていた2013年、Aviciiは初のフルアルバム『True』をリリースしました。
本作では、彼が音楽において抱いていた“ダンスからの飛躍”が表現されており、フェスのクラブアンセムを超え、フォーク、カントリー、ソウルなど様々なジャンルが交差した画期的な試みとして注目を集めました。シングル「Wake Me Up」は世界で大ヒットし、EDMとアコースティックの融合という新地平を切り開いた作品として音楽史に名を刻みました。
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アーティストについて
Avicii(本名:Tim Bergling)はスウェーデン出身のプロデューサー/DJ。2008年頃から活動を開始し、2011年の「Levels」で一躍世界的スターへと駆け上がりました。
その清潔感あるメロディと、哀愁を帯びたコード進行は、EDMというジャンルに“エモーション”を与えた存在として知られています。
彼は単なるフェスDJではなく、ソングライター/プロデューサーとしての感性を常に重視していました。『True』は、まさにその“作曲家Avicii”の姿を最も色濃く感じられる作品です。
アルバムの特徴・個性
『True』の特徴は、なんといってもその“ジャンル融合の大胆さ”にあります。当時のEDMシーンでは、ビッグルームサウンドやプログレッシヴ・ハウスが主流でした。しかしAviciiは、フェスでは聴けないような生楽器の響きをアルバムの中心に据え、
ブルース、ソウル、カントリー、ディスコなどを縦横無尽に取り込みました。
特にオープニングを飾る「Wake Me Up」は、アコースティックギターとフォークのリズムが特徴的で、世界中のリスナーを驚かせたものです。この「EDM × カントリー」という組み合わせは、のちのKygoやZHU、さらにはJustin Bieberらのサウンドにも大きな影響を与えました。
アルバム全体としては、単なる“ダンスアルバム”ではなくポップスとしての完成度を持つ作品です。メロディ、構成、感情表現——すべてが細部まで緻密に計算されており、Aviciiの音楽的野心が存分に感じられます。
『True』全曲レビュー
1. Wake Me Up
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ジャンル:エレクトロニック・フォーク、プログレッシブ・ハウス
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特徴:アルバムの顔とも言える世界的な大ヒット曲。アコースティックギターの軽快なイントロから始まり、Aloe Blaccの力強いボーカルが加わることでEDMの常識を覆した。
2. You Make Me
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ジャンル:プログレッシブ・ハウス、ソウル・ハウス
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特徴:ゴスペルシンガー、Salem Al Fakirのソウルフルなボーカルが際立つ、アップテンポでエネルギッシュな楽曲。キャッチーなシンセメロディと、力強いビートが特徴であり、EDMらしい高揚感を存分に味わえる。ボーカルの感情表現が豊かで、聴き手の心を掴む。
3. Hey Brother
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ジャンル:エレクトロニック・フォーク、プログレッシブ・ハウス
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特徴:再びDan Tyminskiをフィーチャーした、カントリー・フォークとEDMの融合が際立つ楽曲。郷愁を誘うバンジョーのサウンドと、兄弟間の絆を歌った温かい歌詞が印象的。
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ジャンル:ソウル・ハウス、エレクトロニック・ロック
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特徴:Adam Lambertのパワフルで情熱的なボーカルが光る楽曲。ロック的なギターリフとソウルフルなボーカルが、Aviciiのプログレッシブ・ハウスサウンドと融合している。
5. Dear Boy
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ジャンル:プログレッシブ・ハウス、ヴォーカル・ハウス
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特徴:Marnik Hagebergの伸びやかなボーカルが印象的な、メロディックで高揚感のあるハウス楽曲。シンセサイザーのレイヤーとドラマティックなコード進行が特徴であり、ダンスフロアでのアンセムとしても機能する。
6. Liar Liar
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ジャンル:カントリー・ハウス、エレクトロニック・フォーク
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特徴:Elias Fares and Blondfireをフィーチャーした、カントリーギターの軽快なリズムとEDMのビートが融合したユニークな楽曲。歌詞は嘘と真実の間の葛藤を描いており、その対比が音楽的にも表現されている。
7. Shame On Me
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ジャンル:ディープ・ハウス、ソウル・ハウス
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特徴:アコースティックな要素とディープなハウスグルーヴが融合した楽曲。ボーカルの切ない表現と落ち着いた雰囲気のトラックが、内省的なムードを創り出す。
8. Lay Me Down
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ジャンル:ファンク・ハウス、ディスコ・ハウス
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特徴:Adam Lambertを再びフィーチャーした、ファンキーでダンサブルな楽曲。80年代のディスコやファンクの影響が色濃く、グルーヴィーなベースラインと、キャッチーなシンセサウンドが特徴。
9. Hope There's Someone
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ジャンル:エレクトロニック・ゴスペル、アンビエント・ハウス
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特徴:Anthony WattsとErnest Greeneをフィーチャーした、ゴスペル調のコーラスと、壮大なシンセパッドが印象的な楽曲。希望と信仰をテーマにした歌詞が、心を揺さぶるような感動的なサウンドと共に展開される。
10. Heart Upon My Sleeve
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ジャンル:プログレッシブ・ハウス、インストゥルメンタル
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特徴:アルバムのインストゥルメンタル曲の中でも特にメロディックで、高揚感のあるトラック。キャッチーなシンセメロディと、ビルドアップが特徴であり、Aviciiの作曲センスが光る。
11. All You Need Is Love
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ジャンル:プログレッシブ・ハウス、ヴォーカル・ハウス
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特徴:ボーカルの温かいメッセージと、Aviciiらしい高揚感のあるメロディが融合した楽曲。シンプルな歌詞ながらも、普遍的な愛のテーマがストレートに伝わる。
12. Always On The Run
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ジャンル:エレクトロニック・フォーク、プログレッシブ・ハウス
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特徴:シンガーソングライター、Mac Davisをフィーチャーした、カントリー・フォークの香りが漂う楽曲。軽快なアコースティックギターと、マック・デイヴィスの暖かく枯れたボーカルが印象的。
13. Canyons
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特徴:アルバムの終盤に位置する、静かで穏やかなインストゥルメンタル・トラック。広がるシンセパッドと、ミニマルなビートが、深い瞑想的な雰囲気を創り出す。
14. Long Road To Hell
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ジャンル:エレクトロニック・ロック、プログレッシブ・ハウス
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特徴:Audra Maeをフィーチャーした、ロック色の強い楽曲。力強いギターリフと、ソウルフルなボーカルが、Aviciiのハウスビートに乗る。
15. Levels Radio Edit
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ジャンル:プログレッシブ・ハウス
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特徴:Aviciiのキャリアを象徴する世界的なヒット曲。Etta Jamesのボーカルサンプリングと中毒性のあるシンセリフ、聴く者を一瞬で高揚させるドロップが特徴である。
こんな人におすすめ!
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EDMの新たな可能性を探求したい人
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キャッチーで高揚感のあるメロディが好きな人
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生楽器とエレクトロニックミュージックの融合に興味がある人
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多様なボーカリストの歌声を楽しみたい人
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ポジティブで普遍的なメッセージを持つ音楽を求める人
同じ系統の楽曲・アルバム5選
1. Kygo『Cloud Nine』
トロピカル・ハウスの代表的存在であるKygoのデビューアルバム。アコースティックな楽器のサウンドと、キャッチーなメロディ、リラックスしたビートが特徴。
2. Disclosure『Settle』
UKガラージやハウスを現代的に解釈し、ソウルフルなボーカルとメロディックなシンセサウンドを融合させたアルバム。Aviciiとは異なるアプローチだが、ダンスミュージックに人間的な感情と普遍性を持ち込んだ点で共通している。
3. Clean Bandit『New Eyes』
クラシック音楽の要素と、EDM、ポップを融合させたユニークなサウンドが特徴のバンドである。生楽器のストリングスなどを大胆に取り入れ、ジャンルを超えた音楽性を追求する点で、『True』との共通点が見られる。
4. The Chainsmokers『Memories...Do Not Open』
EDMをベースにしつつも、ポップやオルタナティブ・ロックの要素を取り入れ、感情的な歌詞とキャッチーなメロディを重視したアルバム。Aviciiのような普遍的な高揚感と、多様なジャンルからの影響が感じられる。
5. Zedd『Clarity』
EDMとポップを高いレベルで融合させたアルバム。特に歌メロとシンセの調和において『True』と通じる構造。
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まとめ
『True』は、“電子音楽と人間の感情の架け橋”としての、Aviciiの哲学的実験です。フォークもソウルもロックも、ここでは全てダンスビートの中でひとつになります。その音楽的融合は、ジャンルの壁を超え、時代を超えて愛され続けています。
『True』は、EDMを「人間の音楽」に変えた歴史的作品なのです。
