雑食音楽偏歴

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Goo Goo Dolls『Gutterflower』 (2002)

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出典:YouTube

2002年4月9日にリリースされたGoo Goo Dollsの7枚目のスタジオ・アルバム『Gutterflower』は、前作『Dizzy Up the Girl』に続いて高い評価を得つつも、敬意を集めながらもやや地味という印象を残した一作です。Billboard 200では自身最高となる4位を記録し、Gold認定を獲得するなど商業的にも成功を収めました([turn0search1])。本作は「Here Is Gone」や「Big Machine」といったシングルが印象的で、一貫したオルタナティヴ・ロック性に、ポップさと哀愁が交差する叙情が詰まっています。

アーティストについて

Goo Goo DollsはJohnny Rzeznik(ボーカル/ギター)、Robby Takac(ベース、コーラス、時にはリードヴォーカル)、そしてMike Malinin(ドラム)によるアメリカのロックバンドです。1990年代後半、『Name』や『Iris』などのヒットを通してポップ・ロックシーンで確かな地位を築きました。全体的に温かく静かな叙情性をもつサウンドが特徴で、Rzeznikのファルセットや哀愁を帯びたメロディセンスにより、多くのリスナーに支持されています。

アルバムの特徴・個性

このアルバムは、バンドサウンドに焦点を当てた、生々しくも温かい音作りが際立っています。全体を流れるのは、少し影のあるメランコリックな雰囲気。しかし、その中にも希望や光を見出すようなポジティブなメッセージが込められています。エモーショナルなロックアンセム、切ないアコースティックナンバー、パンクのルーツを感じさせる疾走感のある曲まで、バラエティ豊かな楽曲が収録されており、Goo Goo Dollsの音楽性の幅広さを再認識させてくれます。

『Gutterflower』 全曲レビュー

1. Big Machine

  • ジャンル:オルタナティヴ・ロック/ディスコ風
  • 特徴:「失われた愛」をテーマにした“ディスコ風”チューン。JohnnyによるHalf-Casterギターがユニークな印象を与える。

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2. Think About Me

  • ジャンル:ポップ・ロック
  • 特徴:アップテンポで疾走感のあるギターリフが印象的な楽曲。前向きなエネルギーに満ちたメロディと力強いボーカルが心地よい。

3. Here Is Gone

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4. You Never Know

  • ジャンル:ポップ・ロック/ミディアムテンポ
  • 特徴:Robbie Takacのリードヴォーカルが際立ち、多彩な表情を見せる温かなナンバー。シンプルなコード進行と、聴きやすいメロディが特徴で、思わず体を揺らしたくなるような楽しい雰囲気がある。

5. What a Scene

6. Up, Up, Up

  • ジャンル:ポップ・ロック・バラード
  • 特徴:上昇感と内省を兼ね備えたメッセージソングで、安心感のあるアンサンブルに包まれる。アコースティックギターとストリングスが美しい、温かみのあるバラード。

7. It’s Over

  • ジャンル:ミッドテンポ・ロック
  • 特徴:終わりを受け入れる悲哀の中にも、前に進む決意が見える穏やかな一曲。Johnyの楽曲にはない、Robbyらしいストレートでエネルギッシュなサウンドが魅力。

8. Sympathy

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9. What Do You Need?

  • ジャンル:エモーショナル・ロック
  • 特徴:鳴り響くギターと情熱的なボーカルが“最もパンク的なルーツ”を強く思い起こさせる楽曲である。

10. Smash

  • ジャンル:ポップ・ロック
  • 特徴:イントロから漂う緊張感と、タイトに刻まれるリズム隊のビートが特徴的で、疾走感は抑えつつも張り詰めた空気感を漂わせている。ギターの音作りは比較的ドライで、90年代ポストグランジの雰囲気を色濃く残しつつ、サビでのメロディはラジオ向けのキャッチーさをしっかりと持ち合わせている。

11. Tucked Away

  • ジャンル:ポップ・バラード
  • 特徴:イントロから繊細なギターフレーズとシンプルなベースラインが絡み合い、リスナーを落ち着いたサウンドスケープへと誘う。ヴァース部分では抑制されたヴォーカルが耳に優しく響き、感情を抑え込んだ語りのような歌い方が特徴的。

12. Truth Is A Whisper

  • ジャンル:ミステリアス・ロック
  • 特徴:メランコリックな空気感を漂わせながらもドラマチックに展開していく。イントロのクリーントーン・ギターとゆったりとしたリズムの絡み合いが心地よく、サビではふわりと広がるギターのコーラス・エフェクトが幻想的な響きを生み出す。

こんな人におすすめ!

  • Goo Goo Dollsの“ポップ・ロックと叙情”を味わいたい人

  • 心に響く切ないメロディを探している人

  • ミドルテンポの静かなロックバラードに癒されたい人

  • アコースティックなサウンドも楽しめる人

  • 感傷と静けさが交差する作品をじっくり聴きたい人

同じ系統の楽曲・アルバム5選

  1. Matchbox Twenty – 『Mad Season』 
    ポップ・ロックとオルタナティヴの融合を象徴する名盤であり、繊細なメロディと大人びたサウンドが印象的。しっとりとしたバラードとラジオフレンドリーな楽曲。

  2. Vertical Horizon – Everything You Want』 
    ポップ寄りのオルタナティヴ・ロックを代表する一枚であり、タイトル曲のヒットをきっかけに幅広い支持を得た作品。クリーンなギターサウンドとエモーショナルな歌声は、『Gutterflower』の透明感と共鳴する。

  3. Lifehouse – 『No Name Face』 
    「Hanging by a Moment」など、叙情的かつラジオ向けのロックナンバーで知られるデビュー作。感情を抑えたヴォーカルと丁寧なアレンジは、『Gutterflower』の静かな美しさと相性が良いだろう。

  4. Third Eye Blind – 『Blue』 
    デビュー作の勢いを保ちつつ、よりダークでメロディアスな方向に進化したアルバム。オルタナティヴらしいギターワークや緊張感のあるサウンドスケープは、Goo Goo Dollsのメロウな側面を好むリスナーに薦められる。

  5. Counting Crows – 『This Desert Life』 
    ルーツ色の強いオルタナティブ・ロックの名手による作品。都会的な哀愁や文学的な歌詞世界が『Gutterflower』と通じており、同じく“静けさの中の情熱”を味わえるアルバム。

リンク

www.googoodolls.com

open.spotify.com

まとめ

『Gutterflower』は、Goo Goo Dollsの音楽的キャリアにおいて、非常に重要な位置を占めるアルバムです。彼らが大ブレイクを果たした後に、プレッシャーを跳ね除け、自分たちの音楽を追求した結果生まれた傑作だと言えるでしょう。

前作のような派手さはないかもしれませんが、その分、よりソングライティングの深さや、バンドサウンドの温かさを感じることができます。切ないバラードから、パンクのルーツを感じさせる疾走感のあるロックナンバーまで、Goo Goo Dollsの魅力がぎゅっと詰まっています。