出典:YouTube
イギリスのエレクトロニックデュオ、Basement Jaxx(ベースメント・ジャックス)のセカンドアルバム『Rooty』は、2001年6月25日にリリースされました。
ダンス、エレクトロニカ、ハウスを基盤にしつつ、ゴスペルやファンク、パンクやエレクトロの要素を大胆に取り込んだサウンドで、世界中のダンスフロアに強烈な印象を残しました。
ポップと実験性が混在した音楽性と、全編に漂う「あくまでも楽しませることが目的」の空気感が、本作の大きな魅力です。
アーティストについて
Basement JaxxはFelix BuxtonとSimon Ratcliffeによるロンドン出身のエレクトロニックデュオで、1999年のデビューアルバム『Remedy』でセンセーションを巻き起こしました。
ローファイなハウスにユーモアとアプローチを効かせるスタイルと、ジャンルに捉われない自由な音作りで知られており、『Rooty』でもそのエッジの効いた音楽性がさらに進化しています。
アルバムの特徴・個性
このアルバムは、クラブミュージックの要素を保ちながらも、バンドサウンドや生楽器を積極的に導入しており、ライブ感のあるエネルギッシュな音像を作り出しています。ロックのギターリフ、ファンクのベースライン、ソウルのホーンセクション、レゲエのリズムなど様々なジャンルの要素がごちゃ混ぜになり、全く新しい化学反応を起こしています。
また、アルバムのタイトルにもなった、彼らが主宰していたパーティー「Rooty」の持つ、猥雑で自由な雰囲気がそのまま音楽に反映されています。商業的な成功を意識することなく、自分たちが本当に作りたい音楽を追求した彼らの自信と、音楽に対する愛情が、このアルバムには詰まっています。
『Rooty』全曲レビュー
1. Romeo
2. Breakaway
- ジャンル:ファンキー・ハウス/エレクトロファンク
- 特徴:ミニマルに構築されたビートに、アシッドなベースが滑らかに絡む。アルバム全体の中でもクラブ寄りの曲調が強く、フロアでの中盤ブリッジとして機能することを意識して作られている印象を受ける。
3. SFM
- ジャンル:UKガラージ風ダンスインスト
- 特徴:UKガラージやブレイクビーツの影響が濃く、ベースの重量感と軽快なハットの対比が印象的。全体に漂う実験的な空気感は、Basement Jaxxが当時のダンスミュージックの潮流を敏感にキャッチしていたことを物語っている。
4. Kissalude
- ジャンル:インタールード
- 特徴:幻想的なストリングスとささやくようなヴォーカルサンプルが入り混じり、次のトラック「Jus 1 Kiss」への導入を優雅に演出している。こうしたインタールードの配置が、アルバムを“DJセット的な流れ”として聴かせる一因となっている。
5. Jus 1 Kiss
- ジャンル:ディスコ/ポップハウス
- 特徴:Chic風のリズムとメロウな展開が一体となった、甘美なダンス曲。UKダンスチャート1位獲得のほか、「シンプルな中毒性がある」と各方面で高評価。
6. Broken Dreams
- ジャンル:ギャラリー・ポップ/ワールドミュージック風味
- 特徴:パラグアイ風サンプルとゆらぎのあるボーカルが混ざる、メランコリックなポップ曲。悲哀と浮遊感のバランスが絶妙であり、アルバムの中でも異彩を放つ楽曲。
7. I Want U
- ジャンル:ファンクロック調ハウス
- 特徴:パワフルなビートとシャウト風のヴォーカルが合わさったアグレッシブなトラック。ロック的エネルギーをクラブトラックに落とし込んだ野心作。
8. Get Me Off
- ジャンル:ディープ・ハウス
- 特徴:ビートが特徴的なセクシーでグルーヴィな一曲。歌詞やボーカルサンプルのセンシュアルな響きが曲全体のテーマを象徴し、アルバムの中でも大人の雰囲気を持つ楽曲。
9. Where's Your Head At
- ジャンル:エレクトロ/パンク・ハウス融合
- 特徴:Gary Numanのサンプルを大胆に再構築し、ヘッドバンギング必至のハイブリッド・クラブチューンとなっている。エレクトロクラッシュ的な歪みとパンクの勢いを取り入れた攻撃的なトラックに仕上げている。
10. Freakalude
- ジャンル:インストゥルメンタル・ハウス
- 特徴:エレクトロなリズムとヴォコーダーのような音声加工による短い遊び心のある前奏。重厚なシンセと不穏なヴォコーダー処理が短く挿入された、奇妙でクセのあるトラック。
11. Crazy Girl
- ジャンル:エレクトロファンク/バレアリック・ハウス
- 特徴:ファンキーなベースラインとギター、スリリングなギミックが混ざって“Basement Jaxxの技巧”が光る名曲。まるでライブセッションのような熱気を放つ。
12. Do Your Thing
- ジャンル:ジャズ・ビッグバンド・ハウス
- 特徴:ビッグバンドのブラスサウンドをサンプリングし、ループさせた大胆なトラック。80’s風のジャジーなピアノとゴスペル調ヴォーカルが大胆に融合。ユニークな異色作として高評価。
13. All I Know
- ジャンル:ディープ・ハウス/エモーショナル・インスト
- 特徴:感情的なシンセとエフェクトが調和し、クールダウンを担う静かなエンディングトラック。アルバム全体を俯瞰するような落ち着きと余韻を残し、パーティーの熱狂の後に訪れる静けさを表現している。
こんな人におすすめ!
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ポップなハウスを心底楽しみたい人
- パーティー感や多幸感のある、ポジティブな音楽を求めている人
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多彩なジャンルとリズムの冒険を遊び心とともに体験したい人
-
クラブでもホームでも映える、ダンスフロア志向のアルバムを探している人
- 90年代後半から2000年代初頭のダンスミュージックを再確認したい人
同じ系統の楽曲・アルバム5選
1. Daft Punk - 『Discovery』
フレンチ・ハウスの代表格であり、ダンスミュージックを世界的なポップミュージックへと押し上げた傑作アルバム。フィルター・ハウスやディスコ・サウンドを大胆にサンプリングし、キャッチーで中毒性のある楽曲を生み出している。
2. Groove Armada - 『Vertigo』
イギリスのダンス・デュオ、Groove Armadaのセカンド・アルバム。ハウス、ダウンテンポ、ヒップホップ、ラテンといった様々なジャンルを横断し、ゲストボーカルを多用している点でBasement Jaxxと共通する。
3. Fatboy Slim - 『Halfway Between the Gutter and the Stars』
ビッグビートの代表格、Fatboy Slimのアルバム。ロックやソウル、ジャズなどから大胆にサンプリングし、祝祭的でアグレッシブなダンス・サウンドを作り出している。
4. The Chemical Brothers - 『Surrender』
同じくビッグビートを牽引したThe Chemical Brothersのアルバム。彼らのサウンドは、サイケデリックな要素やロックのダイナミズムをダンスミュージックに取り入れた、壮大でエモーショナルなもの。
5. Dimitri from Paris - 『Sacrebleu』
フランスのDJ、Dimitri from Parisの1stアルバム。ハウスをベースに、ディスコ、ラウンジ、ジャズといった要素をエレガントに融合させている。
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まとめ
『Rooty』はBasement Jaxxが“ハウスを楽しくする”という明確な信念のもとに作り上げた、2000年代初頭のクラブ・ポップの金字塔です。
エレクトロニックとポップのバランスを自在に操りながら、実験精神とキャッチーさを同時に実現したその姿勢は、今なお多くのファンとクリエイターに影響を与えています。クラブの熱量と心の動きを両立させる、稀有な名盤です。