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Blue Boy、通称“The Blue Boy”(本名:Alexis “Lex” Blackmore)の代表作『Remember Me』は、1997年にシングルとしてリリースされ、UKチャートでは8位に達したダンストラックであります。その印象的なフレーズ「Remember me, I'm the one who had your babies」に衝撃を受けたリスナーも多く、深い余韻を残す珠玉の一曲として、時代を超えて愛され続けています。
アーティストについて
Blue Boyはスコットランド出身のDJ/プロデューサー、Alexis “Lex” Blackmoreのアーティスト名です。グラスゴーおよびロンドンでDJ活動を重ねた後、1995年に「Sandman」でBlue Boy名義をスタートし、その後1997年の大ヒット「Remember Me」により名声を得ました。
“Remember Me”には、Marlena Shawが1973年にモントルー・ジャズフェスで歌った“Woman of the Ghetto”のヴォーカルがサンプリングされており、そのヴィンテージ感とモダンなハウスサウンドの融合が時代を越えた魅力を生んでいます。
アルバムの特徴・個性
本作は①“ジャズ/ファンク感”のあるサンプリング・ループ ②“ディープハウス/ダウンテンポ”のグルーヴ ③“キャッチー&反復フック”という要素が絶妙に組み合わされていて、リスナーの記憶に強烈に響く仕上がりです。
「Remember Me」は、シンプルながら非常に効果的な構成で、ダンスフロアとリスナーの心に同時に訴えるデザインとなっており、Billboard誌も「強烈にキャッチーなダンス・アンセム」と評しました。
また、Mark FarinaのMushroom Jazz収録で広く知られたことで、Trip-Hop/ダウンテンポ・ファン層にも強い影響を与えました。
『Remember Me』全曲レビュー
1. Remember Me (Sure Is Pure 7 Inch Edit)
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ジャンル:ハウス / ディープハウス
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特徴:ラジオやシングル用に最適化されたショート・ヴァージョン。イントロからすぐに印象的な「Remember me, I’m the one who had your babies」のフックが流れ、原曲の雰囲気を損なわずキャッチーなサウンドを強調している。
2. Remember Me (Original 7 Inch Edit)
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ジャンル:ダウンテンポ / ハウス
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特徴:オリジナルのムードを保持しながら、放送用に尺を詰めたエディット。ジャジーなベースラインとヴォーカルサンプルのスモーキーな響きが、90年代後半のクラブカルチャーを象徴している。
3. Remember Me (Sure Is Pure 12 Inch Edit)
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ジャンル:ハウス / クラブミックス
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特徴:クラブDJ向けに展開を広げたリミックス。長尺イントロとリズムの構築が特徴で、フロアでの使いやすさを意識した構成になっている。
4. Remember Me (Original Mix)
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ジャンル:ディープハウス / ダウンテンポ
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特徴:この楽曲を象徴するバージョン。Marlena Shawの「Woman of the Ghetto」のヴォーカルサンプルを前面に押し出し、シンプルなビートとジャジーなベースラインで都会的なグルーヴを描き出す。
5. Remember Me (Deep Zone Mix)
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ジャンル:ディープハウス
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特徴:その名の通り低音を強調したリミックスで、原曲のムードをさらに深くしたアンダーグラウンド志向の仕上がり。リバーブのかかった空間処理やベースの鳴り方が印象的で、遅い時間帯のクラブセットやチルアウトシーンに最適。
6. Remember Me (Dub Zone Mix)
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ジャンル:ダブ・ハウス
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特徴:ヴォーカルの要素を極力削ぎ落とし、サウンドエフェクトやリズムのテクスチャーを前面に出したバージョン。音の隙間やエフェクトの響きを楽しむ実験的なスタイルで、DJが次のトラックへ繋ぐためのブリッジとしても重宝されるタイプのリミックス。
7. Remember Me (Sub Dub Mix)
8. Remember Me (Rae & Christian Mix)
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特徴:UKダウンテンポ・デュオ、Rae & Christianによるリミックスで、ブレイクビーツを基盤にしたトリップホップ寄りのサウンドスケープを展開している。ジャズ的要素がより強く、ヒップホップのサンプリング美学と融合したモダンなリワーク。
9. Remember Me (Da III Flip Mix)
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ジャンル:ハウス / フューチャージャズ
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特徴:ジャジーなピアノや鍵盤を取り入れ、より生演奏感のある雰囲気を演出したリミックス。オリジナルのソウルフルな質感を保ちながらも、グルーヴの方向性をクラブ・フレンドリーに変化させた作風が特徴。
10. Remember Me (Cavern 3)
11. Remember Me (Pimp Lab Mix)
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ジャンル:ヒップホップ / ブレイクビーツ
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特徴:ファンキーなブレイクとループを強調し、ストリート色を前面に出したリミックス。ソウルフルなヴォーカルの切り貼りにヒップホップ的アプローチを融合し、より骨太なグルーヴを提示している。
12. Remember Me (Madhouse Vocal Mix)
こんな人におすすめ!
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ジャズやソウルをサンプリングした上質なダンスミュージックを好む人
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深い余韻とリフレインによる記憶に残る音楽体験を求める人
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Trip-Hop/ディープハウスといったダウンテンポ音楽が好きな人
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90年代のクラシック・ダンスミュージックを掘り、ノスタルジックなグルーヴを味わいたい人
- 多幸感に満ちた、ポジティブな音楽を求めている人
同じ系統の楽曲・アルバム5選
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Moloko – 『Sing It Back (Boris Dlugosch Mix)』
ディープハウスのグルーヴと繰り返しフレーズの快楽性を極めたリミックス作品。 -
St. Germain – 『Rose Rouge』
ジャズヴォーカルの断片をループし、クールかつグルーヴィーなハウスとして昇華した名曲。 -
Morcheeba – 『Trigger Hippie』
トリップホップとソウルフルなダウンテンポが調和し、ゆったりとしたグルーヴと深みを生む作品。 -
Nightmares on Wax – 『Les Nuits』
ジャズ的要素、ヒップホップグルーヴ、ディープハウスの融合による幻想的ダウンテンポ楽曲。 -
Moby – 『Why Does My Heart Feel So Bad?』
サンプルの切り貼りによる深い感情表現とメランコリックなメロディが印象的なエレクトロニカ作品。
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まとめ
Blue Boy『Remember Me』は、ジャズソウルの名フレーズをディープハウスの心地よいビートに融合させた、90年代ダンスミュージックの名作です。軽快かつエモーショナルな構成は、音楽的記憶に深く刻まれ、そのシンプルさこそが普遍的な力を持っています。ダンスミュージックのクラシックを味わいたい方には、必聴の一枚です。