出典:YouTube
電子音楽/ダンス向けミュージックが多様化を続ける中で、GRIDD の “Open Up” はその潮流の1つとして注目に値します。
クラブではもちろん、個人のヘッドフォン体験としても映えるこの作品は、「開く」こと、「解放する」ことをテーマに、サウンドと感情の両面で扉を押し開く感覚を描いています。音響と空気の余白を生かしたサウンドスケープが、今の電子ポップ/エレクトロ系リスナーに心地よい刺激を与えてくれます。
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アーティストについて
GRIDD は比較的新しいプロジェクトで、2020 年に “Open Up (feat. Josha Daniel)” をリリースしています。大作アルバム/長編作品というよりは、シングル/EP を通じて作品を発表している模様です。
公式なバイオグラフィー情報は多くないですが、「解放」「開放」「ドアを押し開く」イメージを持った音像志向が見て取れます。
また、最新作では “Without You” など 2024 年のシングルも確認されており、活動が継続中であることがうかがえます。
楽曲の特徴・個性
“Open Up” がもつ特徴として、まず 空間を意識したエレクトロニック・サウンドデザインが挙げられます。シンセの広がり、リズムの反復、ヴォーカルの処理が“内と外”のギャップを作り、”扉を開く”というテーマを音で体現しているようです。
さらに、ポップ寄りながらもクラブやダンスミュージックの感覚を宿しており、「家で聴く」にも「踊る」にも適した二面性を持っています。ヴォーカル(Josha Daniel)をフィーチャーしており、エモーショナルな歌唱がシンセとビートの中で引き立っています。
また、ミニマル寄りの構成ながら、余白を活かして「聴き手に開放される空間」を提供しており、リスナーが自分の“内側”を開くような感覚を後押しします。
『Open Up』レビュー
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ジャンル:エレクトロニック・ポップ
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ジャンル:クラブ/ダンス・エレクトロ
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特徴:ミニマルなビート構成と反復するシンセフレーズが、踊るためではなく“揺さぶられる”ためのグルーヴを形成。クラブのピークではなく、むしろ深夜のバーラウンジや自宅でのリスニング向きの“揺れ”が心地よい。
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ジャンル:エモーショナル・エレクトロ
全体として、この作品は「派手なエレクトロ」「重厚なトラック」ではなく、“静けさと広がり”“内省と解放”の間を揺れ動くエレクトロ作品として魅力を放っています。
こんな人におすすめ!
・エレクトロニック・ポップながらクラブ色が強すぎない、落ち着いたグルーヴを求める人
・歌もののエレクトロ/ダンスミュージックに興味があるけれど、耳に残るメロディだけではなく“空間”や“余白”も味わいたい人
・夜の部屋、ヘッドフォン、少しアルコールが入った状態など、リスニング体験を深めたい人
・“解放”や“扉を開く”といったテーマ性を音楽でも感じたい人
・クラブトラックよりも“家で踊る”気分、あるいは“心の中で動く”気分を探している人
同じ系統の楽曲・アルバム5選
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James Blake『I Only See You When You’re Sleeping』
ダウンテンポでありながらエレクトロニック・ポップとして強い存在感を放つ作品。ヴォーカルとシンセの空間処理、余白の使い方が“Open Up”と共通しており、内省的かつ洗練されたリスニング体験を求める向きには最適。 -
SZA『Devotion』
ジャンル的にはR&B寄りだが、エレクトロやポップの要素を取り入れたプロダクションセンスに優れており、歌もの+空間演出という意味で“Open Up”の感覚と通じる。 -
Disclosure『Settle』
2010年代のディープハウス・リバイバルを牽引したUKのデュオによる傑作。ポップなメロディと、UKガラージ、UKファンクの要素を取り入れたタイトなリズムが特徴。 -
Tycho『Dive』
インスト主体だが、エレクトロニカとポップの中間域を行くサウンドを展開しており、“空間”“波”“余韻”を重視する点が“Open Up”と親和性を持っている。 -
Burial『Untrue』
フィールドがダブステップ/2ステップ寄りだが、ヴォーカルサンプルの浮遊、暗めのエレクトロニック・グルーヴ、感情の“余白”にフォーカスしている。
この記事で紹介したEP
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まとめ
“Open Up” は、鮮やかに“開かれる”感覚を音楽で描き出した作品です。リズムが前面に出て踊らせるというより、音と空間の関係が丁寧に設計され、耳を澄ますことでその構造が浮かび上がってきます。GRIDD の実験的かつポップな志向が、静と動、内と外のあわいで揺れながら、聴き手を新たな“扉”へと誘います。
エレクトロでポップでありながら、クラブではなく“自分の部屋”で聴きたくなる一曲。もしあなたが、派手なビートや爆発的サウンドではなく、中音量で感じる“解放の瞬間”を音楽に求めるなら、まさにこの作品を体験すべきです。
次のリスニングタイムに、“開く”という動詞を音で感じてみてはいかがでしょうか。
