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Incognito『No Time Like The Future』(1999)|アシッド・ジャズ黄金期の名作

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出典:YouTube

イギリスのアシッドジャズ/ソウル・コレクティブとして30年以上にわたり世界を魅了し続けるIncognito
1990年代後半は彼らの円熟期とも言える時期で、アシッドジャズというジャンルがクラブシーンとソウルの間を華やかに彩っていたタイミングでもあります。その中で1999年にリリースされた『No Time Like The Future』は、ファンク、ソウル、アフロ、ダンスミュージックの要素をまとめ上げた非常に完成度の高い作品です。

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アーティストについて

Incognitoは、Jean-Paul “Bluey” Maunickを中心としたロンドン発のアシッドジャズ・バンドです。1980年代初期から活動を開始し、90年代に本格的なブレイクを果たしました。トレードマークは、ジャズ、ファンク、ソウル、ディスコ、ブラジル音楽などを高度にミックスしたグルーヴィーなサウンド。圧倒的な演奏力を持つバンドメンバーと、多様なゲストボーカリストによる豊かな音楽性です。

リズムセクション、ホーン隊、ストリングス、そしてコーラスが複雑に絡み合いながらも、常にポップで聴き心地の良いバランスを失わないところが特徴。
音楽的技術の高さに加え、ポジティブなメッセージを含んだ楽曲が多く、ライブでも大きな人気を持つグループです。

アルバムの特徴・個性

『No Time Like The Future』は、アシッドジャズの黄金時代とも言える1999年に発表され、Incognitoの円熟したサウンドを象徴する作品です。ファンク色の強いアップテンポナンバーから、スムースなソウル、ジャズ寄りのインストまでバランスよく収録され、アルバム全体を通して豊かで洗練された音の旅を体験できます。

ホーンアレンジ、女性ボーカルの強烈な存在感、ブルーイによる洗練されたギターカッティング、クラブジャズ的なアレンジの採用など、当時のUKジャズファンクシーンを象徴する音作りが満載です。

『No Time Like The Future』全曲レビュー

1. Wild and Peaceful

  • ジャンル:アシッド・ジャズ/ファンク
  • 特徴:オープニングとして力強いホーンが鳴り響き、ファンクの推進力とジャズの自由度が絶妙に溶け合った楽曲。グルーヴィーなベースラインと跳ねるドラムが、タイトル通り“野性味と穏やかさ”を併せ持つ雰囲気を作り出す。

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2. Get Into My Groove

  • ジャンル:アシッド・ジャズ/ソウル
  • 特徴:ベースのうねりとホーンの絡みが絶品で、都会的な夜景のような気品を纏っている。歌メロのメロディーラインが極めて耳に残り、聴けば聴くほど味わい深い構成。

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3. It Ain’t Easy

  • ジャンル:ネオソウル/アシッドジャズ

  • 特徴:心地よくも切実なムードを漂わせるネオソウル寄りの楽曲。ヴォーカルのリズムの乗せ方がヒップホップ的ニュアンスを含んでおり、90年代末の空気感を強く反映している。

4. Marrakech

  • ジャンル:ワールド/アシッド・ジャズ

  • 特徴:北アフリカの伝統的な旋律を取り込み、アシッドジャズと融合させたエスニックなトラック。パーカッションの複雑なリズムが異国の風景を鮮やかに描き、ホーン隊とストリングスが広がりを与える。

5. Fearless (Instrumental Version)

  • ジャンル:ジャズ・ファンク/インスト

  • 特徴:ボーカルレスのジャズファンクナンバーで、バンドの演奏力が前面に出た一曲。ギターとキーボードの掛け合いが見事で、細かなアンサンブルの妙が味わえる。

6. Night Over Egypt (Bluey’s Mix)

  • ジャンル:アシッド・ジャズフュージョン

  • 特徴:名曲のBlueyによるリミックスで、オリエンタルなムードとアシッドジャズの洗練が共存したトラック。艶やかなストリングスと深いベースが夜のエジプトの静けさと神秘を描く。

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7. Centre Of The Sun

  • ジャンル:ソウル/アシッド・ジャズ

  • 特徴:温かく人間味に溢れたソウルナンバー。コーラスワークとホーンにより高揚感が生まれ、アルバムの後半における感情的ピークのひとつ。

8. More Of Myself

  • ジャンル:ネオソウル/R&B

  • 特徴:柔らかなキーボードとしっとりしたテンポが特徴のR&B寄りの楽曲。心の内面を語るようなボーカルの表現が美しく、優しく包み込むような質感を持つ。

9. I Can See The Future

  • ジャンル:アシッド・ジャズ/ダンス・ファンク

  • 特徴:跳ねるビートが心地よいダンスファンクで、アルバム終盤に明るさをもたらす一曲。ホーンのアレンジがキャッチーで、ライブ感が強く、身体を自然に動かしたくなるようなグルーヴを持つ。

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10. Black Rain (Instrumental Version)

  • ジャンル:インスト・ジャズ/ダウンテンポ

  • 特徴:重厚なビートと濃密な空気感が、タイトルどおり“黒い雨”のようなメランコリックな情景を描く。管楽器のフレーズが美しく、深い余韻を残すアウトロ的存在。

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こんな人におすすめ!

  • アシッドジャズやクラブジャズが好きな人

  • ソウルフルで温かみのある音楽を求めている人

  • 演奏力の高いバンドの作品をじっくり味わいたい人

  • 1990年代UKジャズ/ファンクの空気を感じたい人

  • 多国籍なサウンドワールドミュージック要素が好きな人

同じ系統の楽曲・アルバム5選

1. Jamiroquai『Travelling Without Moving』

アシッド・ジャズとファンクの融合が極まった名盤で、Incognito同様に都会的でダンサブルなサウンドを楽しめる。特にリズムセクションの切れ味が強く、スタイリッシュなアプローチが際立つ。

2. Brand New Heavies『Shelter』

アシッド・ジャズの代表格による作品で、洗練されたホーンセクションとソウルフルなボーカルが光る。Incognitoの持つ温かみと近い質感を持ちながら、よりR&B寄りのテイストも含んでいる。

3. Galliano『The Plot Thickens』

ジャズ、ヒップホップ、ファンクをミクスチャーした英国アシッド・ジャズの重要作。ビートの太さと語り口の個性が際立ち、Incognitoとは異なるアプローチながら同系統のクラブジャズの流れを共有している。

4. The RH Factor『Hard Groove』

Roy Hargrove率いるプロジェクトによるジャズ・ファンクの傑作。ホーンアレンジの妙やファンキーな展開がIncognitoと共通しており、よりジャズ寄りの濃密さを味わえる。

5. Soulive『Doin' Something』 

アメリカのジャズ・ファンクトリオによるアルバムで、オルガン、ギター、ドラムによる硬質でグルーヴィーなアンサンブルが魅力。シンプルな編成ながらエネルギーは強烈で、ライブ感のあるファンクが堪能できる。

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まとめ

『No Time Like The Future』は、Incognitoが長年築き上げてきたアシッド・ジャズ/ファンクの美学を結晶化した1枚です。アシッド・ジャズの黄金期を象徴する高品質な演奏とアレンジは、時代を超えて響く普遍性を持っています。

心地よくも力強い音楽体験を求めるリスナーに、今なお鮮やかな存在感を誇るアルバムです。