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9 Lazy 9『Jam 9』(2024)|極上のジャズ・ビートが心地よいチルアウト

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出典:YouTube

イタリア出身のダウテンポ/アシッドジャズ・ユニットとして90年代から活動を続けてきた 9 Lazy 9。彼らの音楽は、スモーキーなビート、アコースティック楽器の温もり、映画的なサウンドスケープが溶け合う独特の世界観を持っています。

2024年にリリースされた『Jam 9』は、9 Lazy 9が再び本領を発揮した一枚であり、原点のクールさを保ちながらも、現代的なジャジー/ビートダウンの空気感を取り込み、さらに成熟したグルーヴを聴かせてくれます。

本作は、ラウンジ、ブレイクビーツジャズファンクダウンテンポといったジャンルを有機的に編み込みながら、シネマティックなストーリーテリングを感じさせるアルバムに仕上がっています。深夜の街を歩くようなムード、クラブとジャズバーの境界線を曖昧にするような空気が満ちており、リスナーの「体温と想像力」をゆるやかに変えていく一枚です。

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アーティストについて

9 Lazy 9(別名:Lazy Nine)は、Coldcutが主宰するNinja Tuneの黄金期を支えた存在として知られています。彼らが90年代に提示したダウテンポ/アシッドジャズの融合は革新的であり、単なるクラブミュージックでもなく、純粋なジャズでもない、第三の音楽領域を構築しました。

ループの作り方やドラムの質感、サンプリングの調理法にはいつも強いこだわりがあり、ジャズのフィジカルさとエレクトロニックの抽象性を同時に感じさせてくれる稀有なユニットです。
『Jam 9』は、彼らが積み重ねてきた美学の最新版であり、キャリアの集大成的な充足感も漂わせています。

アルバムの特徴・個性

『Jam 9』は、9 Lazy 9の持つ“都会的な余白”の魅力を、そのまま現代の音響感覚へアップデートした作品になっています。ビートはこれまでより若干強めながらも、決して前に出過ぎず、ジャズ由来の生音との調和を重視したバランスで構築されています。

本作は、楽曲ごとに舞台となる情景がガラッと変わるシネマティックな作りが特徴で、路地裏の煙った空気、古い映画館の座席、夜明け前の駅、雨上がりのアスファルトといった具体的な情景が自然と浮かぶようなサウンドが並びます。
また、ジャズ的即興の感覚と、ダウテンポのミニマルな構造が融合しており、「ループの中で物語が進む」ような独特の進行感を持っています。

全体として、ノスタルジーとモダンさが見事に同居した、9 Lazy 9の成熟を感じさせるアルバムです。

『Jam 9』全曲レビュー

1. Rumble Pie

  • ジャンル:ダウテンポ/ジャズファンク

  • 特徴:アルバムの幕開けにふさわしい、重心低めのビートが印象的な一曲。ウッドベースの太い振動と乾いたドラムの質感が、煙ったジャズバーの空気を思わせる。中盤のエレピがメロウに漂い、都市に夜が沈み込んでいくような導入部を演出している。

2. Motel Eriquette

  • ジャンル:ラウンジ・ダウンテンポ

  • 特徴:古いモーテルをイメージしたようなローファイ感が漂う。スネアの質感はざらつき、エレクトリックピアノが遠くで揺れる。映画のワンシーンのように、物語性と空気の湿度を感じさせる。

3. Harlem Sunset

  • ジャンル:アシッド・ジャズ

  • 特徴:ホーンセクションがアクセントとなり、ニューヨークの夕暮れを描くようなスウィング感がある。シンプルながら豊かなジャズハーモニーが魅力で、アルバムの中でも特にクラシックな雰囲気を持つ楽曲。

4. Turning State

  • ジャンル:ブレイクビーツ/ジャズ融合

  • 特徴:高速めの細かいブレイクが走り、パーカッションが立体的に配置される。疾走感がありつつも冷静さを保ち、9 Lazy 9らしいクールネスを強調している。

5. Tiger Milk

  • ジャンル:ダウンテンポ

  • 特徴:低いベースと柔らかい鍵盤のループが絡み、ミルキーな音像を作り上げる。タイトル通り、濃厚だが優しいテクスチャーが支配する一曲。

6. Percolator

  • ジャンル:ラウンジ・ブレイクス

  • 特徴:パーカッシブで跳ねるようなリズムが特徴。軽快だが複雑な構造を持ち、耳に心地よい反復が続く。カフェやバーの雰囲気を連想させる。

7. Made in the Shade

  • ジャンル:ジャズ・ダウンテンポ

  • 特徴:スモーキーな質感が全面に出た一曲。ブラシドラムのような柔らかさがあり、ギターがサイドで静かに刻む。夕方の長い影を連想させるタイトル性も見事。

8. Straight Flush

  • ジャンル:スロウジャズ・ダブ

  • 特徴:ダブ的エコー処理が要所に効き、奥行きのある音場を形成する。ビートは最小限ながら、重心の低いベースが楽曲を支える。

9. Glass Knuckles

  • ジャンル:アブストラクト・ブレイクビーツ

  • 特徴:ガラスの破片のように鋭いサンプルが飛び交う。パーカッションのリズムが複雑で、実験性が強い。アルバムの中でもスリリングな楽曲。

10. Full Tank

  • ジャンル:ブレイクビーツ・ファンク

  • 特徴:タイトル通りエネルギーが満ちた曲で、ファンキーなベースラインが牽引する。躍動感と軽快さが共存する一曲。

11. Flyswatter

  • ジャンル:ミニマル・ダウンテンポ

  • 特徴:カチカチとした小さな音が虫を払うように配置される。極めてシンプルだが、中毒性のあるループが特徴的。

12. Key of Sea

  • ジャンル:ラウンジ・チルアウト

  • 特徴:海を思わせる透明度の高いサウンドスケープ。軽いシンセパッドとピアノが穏やかに進行し、深い呼吸のような解放感がある。

13. The Fog Comes In

  • ジャンル:アンビエント・ジャズ

  • 特徴:霧が少しずつ街を侵食していくような幻想的なムード。音の輪郭がぼやけ、視界が曖昧になるような効果がある。

14. Starlight at Murray’s

  • ジャンル:ナイトジャズ/ダウンテンポ

  • 特徴:アルバムの締めにふさわしい星明かりのような光沢を持つ。静かなベースと夜の空気感を切り取ったメロディが心に残る。

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こんな人におすすめ!

  • 深夜に聴けるジャズ系ダウンテンポが好きな人

  • Ninja Tuneの黄金期の音が肌に合う人

  • シネマティックなラウンジ音楽が好きな人

  • Lo-fiやビートダウンよりも「生音寄りの質感」を求める人

  • 落ち着いたけれどスウィング感のある音が聴きたい人

同じ系統の楽曲・アルバム5選

  1. The Herbaliser『Blow Your Headphones』
    Ninja Tuneを中心に活動したユニットの名作。ジャズとブレイクビーツを極めて高度に融合したアルバム。

  2. DJ Food『Kaleidoscope』
    サンプリングと生音のブレンドが見事。シネマティックで深いダウテンポを展開する作品。

  3. The Cinematic Orchestra『Motion』
    映画的な構成とジャズの即興性が高次元で結びついたアルバム。9 Lazy 9に通じる世界観を持つ名盤。

  4. Funki Porcini『Love, Pussycats & Carwrecks』
    妖しさと美しさが共存するダウテンポの古典。煙ったムードを求めるリスナーに刺さる作品。

  5. Amon Tobin『Permutation』
    ブレイクビーツとジャズサンプルの融合をさらに深く追求した、刺激と緊張感に満ちたアルバム。

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Jam 9

Jam 9

  • 9 Lazy 9
  • ジャズ
  • ¥1528

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まとめ

『Jam 9』は、9 Lazy 9が長年培ってきた“都会の陰影と温度感”を、2024年の音響でアップデートした成熟の一枚です。ジャズとダウテンポの境界線を自由に歩きながら、夜の街の風景をスケッチするような物語性があり、アルバム全体を通して聴きたくなる流れが丁寧に構築されています。

深夜にゆっくり聴きたい音、部屋の灯りを少し落として味わいたいサウンドが好きな方には強くおすすめできる作品です。9 Lazy 9の代表作として、長く聴き続けられる一枚になるはずです。