出典:YouTube
2016年、エレクトロニックとヒップホップ、ハウス、R&Bの境界線を自由に飛び越えるアーティストとして一躍注目を浴びたKaytranada。彼のフルアルバムデビュー作となる『99.9%』は、ビートメイクの革新性と音楽的幸福感を同時に兼ね備えた、現代ビート・ミュージックの金字塔とも言える作品です。
“クラブミュージックなのに生々しい”“ビートミュージックなのに温かい”“R&Bなのに実験的”。Kaytranadaの独自性は、多様なジャンルの要素を吸収しながらも、「Kaytra節」と呼ばれる特徴的なビート・メイキングによって唯一無二のサウンドへ昇華している点にあります。
『99.9%』は、そんな彼の音楽観を決定的に広めた作品であり、今なお世界中のプロデューサーに影響を与え続けています。
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アーティストについて
カナダ・モントリオール出身のプロデューサー Kaytranada(ケイトラナダ)。本名はLouis Kevin Celestin。
YouTubeやSoundCloudでリミックスを投稿し人気を高め、Janet Jacksonの「If」リミックスなどがバイラルヒットしたことから世界的に注目されました。
彼の特徴は、
によって形成される“Kaytranada groove”にあります。
そのサウンドは一聴して彼とわかるほど強い個性を持ちながら、R&B、ラップ、ハウス、ソウル、オルタナティブなど多様なアーティストと相性が良く、音楽的懐の深さも特徴です。
アルバムの特徴・個性
『99.9%』は、KaytranadaがそれまでのミックスやEPでは見せきれなかった音楽的レンジと深みを、一枚のアルバム作品として分かりやすく提示した作品になっています。
特に魅力的なのは、電子音なのに温度感があり、人の息遣いが感じられる質感です。アナログシンセ、メロウなエレピ、ガラージ的な跳ねるドラム、ソウルフルなベースラインの組み合わせが絶妙で、クラブリスニングとチルアウトをどちらも満たす仕上がりになっています。
さらに、ゲスト陣の選択も秀逸で、Anderson .Paak、AlunaGeorge、Syd、BadBadNotGoodなど、Kaytranadaと有機的に絡み合うアーティストが揃っているため、楽曲の世界観が豊かに広がっています。
『99.9%』全曲レビュー
1. Track Uno
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ジャンル:フューチャービート/エレクトロニック
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特徴: アルバムの幕開けとしてKaytraらしいウォームな質感のビートが展開される。跳ねるドラムと揺れるベースが、日常の中にふと差し込む光のようなきらめきを与え、作品全体のムードを静かに提示している。
2. Bus Ride
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ジャンル:ジャズビート/ダウンテンポ
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特徴: Karriem Rigginsのジャジーなドラムが生きたグルーヴを生み、柔らかなシンセとエレピの響きが都会的な景色を描き出す。タイトルどおり、静かに揺れるバスに揺られているかのような余韻を残す一曲。
3. Got It Good
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ジャンル:R&B/ネオソウル
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特徴: Craig Davidの柔らかなボーカルを甘く包み込むミッドテンポのR&B。Kaytraのビートは軽やかにスウィングしながらも奥行きがあり、深夜の街の静けさを思わせる。
4. Together
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特徴: AlunaGeorgeの透明感のある声とGoldLinkの高速ラップが交わり、躍動感のあるガラージビートの上に軽快に浮遊する。洗練されたダンス・ミュージックとしての完成度が高い。
5. Drive Me Crazy
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ジャンル:ヒップホップ/ハイブリッドビート
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特徴: バウンスの効いたビートの上でVic Mensaがラフにラップをキメる。ビートは荒々しさとメロウさが同居し、Kaytraのプロデューサーとしての幅広さがよく出ている。
6. Weight Off
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ジャンル:インストジャズ/エレクトロニック
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特徴: BBNGとの相性の良さが際立つインストナンバー。生演奏のタッチとエレクトロ的質感が優雅に混ざり、空間を漂うようなスムーズさを生む一曲。
7. One Too Many
8. Despite the Weather
9. Glowed Up
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特徴: Anderson .Paakの酩酊したようなボーカルがクセになる名曲。前半はダークでスロウ、後半は軽快なブレイクビーツへと展開するドラマ性が光る。
10. Breakdance Lesson N.1
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ジャンル:エレクトロファンク
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特徴: 80年代のエレクトロ・ファンクをKaytra流にアップデートした一曲。ベースラインが跳ねまくり、思わず身体が動くダンサブルな仕上がり。
11. You're the One
12. Vivid Dreams
13. Lite Spots
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ジャンル:ハウス/ワールドミュージック
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特徴: ブラジル音楽のサンプルを取り入れた陽性エネルギーのハウス。Kaytraの代表曲のひとつであり、幸福感のあるメロディと跳ねるビートが印象的。
14. Leave Me Alone
15. Bullets
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特徴: Little Dragonの声はKaytraの音色と驚くほど相性が良く、透き通るポップさと内省的なムードが交差するクロージング。余韻深くアルバムを締めくくる。
こんな人におすすめ!
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ジャズやR&Bが好きだけど、クラブミュージックも楽しみたい人
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ローファイやチルビート以上の刺激を求める人
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ヒップホップ・R&B系の新しいプロダクションを知りたい人
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海外のモダンなダンスミュージックに惹かれている人
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とにかく“おしゃれな音楽”を探している人
同じ系統の楽曲・アルバム5選
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Anderson .Paak『Malibu』
ソウル、R&B、ファンク、ヒップホップの要素が滑らかに融合した作品であり、Kaytraとの親和性が非常に高い。濃密で温かみのある生演奏と現代的ビートが心地よく、ジャジーなムードの濃いアルバム。 -
Syd『Fin』
ミニマルで洗練されたR&Bを基盤に、柔らかいメロディと滑らかなプロダクションが溶け合う。Kaytranada的な浮遊感や都会的な温度を持つ一枚。 -
BadBadNotGood『IV』
ジャズを基調としながらヒップホップ、ソウル、電子音楽を取り入れたハイブリッド作品。Kaytraと同じく、ジャンル横断の柔軟さが際立つ。 -
GoldLink『At What Cost』
ワシントンD.C.発のゴーゴーのリズムと現代的ヒップホップを融合した作品。Kaytraのスウィング感と個性の近さを感じることができる。 -
Phonte『No News Is Good News』
大人のR&B/ヒップホップが凝縮されたアルバム。滑らかなグルーヴと温かいメロディがKaytra好きにも刺さる完成度を持つ。
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まとめ
『99.9%』は、Kaytranadaの才能を世界に知らしめた名作であり、ビートミュージックの歴史の中でも重要な転換点となった作品です。
クラブ、R&B、ソウル、ヒップホップ、ジャズが境界なく混ざり合い、どんな場面でも心地よく響く“普遍的で温かい音楽”に仕上がっています。
音楽好きなら一度は通るべき一枚であり、今聴いてもまったく色褪せません。むしろ時代が追いついてきた、と言っても過言ではないほどの完成度です。
