出典:YouTube
1990年代のニューヨーク。ハウスミュージックは世界中に広がり、その中心で輝き続けたのがMasters At Work(MAW)です。Louie Vega と Kenny “Dope” Gonzalez が生み出すソウルフルでラテンの血を感じるハウスサウンドは、クラブカルチャーにおいて絶対的な存在感を放っていました。
その中でも「To Be In Love」は India の情感あふれる歌声とMAWの多層的なサウンドが融合した永遠のクラシック。今回紹介する『To Be In Love ’99 Remixes』は、多彩なリミキサーによって新たな魅力を得た、クラブユースとして最強のラインアップを揃えた作品です。
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アーティストについて
Masters At Work はニューヨーク出身の Louie Vega と Kenny Dope によるプロデュース・デュオで、ハウス、ガラージ、ラテン、ジャズ、ソウル、アフロビートなどあらゆる音楽を取り込みながら独自のハウススタイルを築きました。
彼らの魅力は以下の3点に集約されます。
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NY HOUSE の中核を担ったサウンドデザイン
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ソウルフルで人間味あるプロダクション
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数多くのシンガーやアーティストを輝かせるプロデュース力
「To Be In Love」は、彼らの代表的ボーカリストIndiaをフィーチャーし、ハウスとソウルが完璧に融合した名曲として語り継がれています。
EPの特徴・個性
『To Be In Love ’99 Remixes』は、原曲のクラシック感を保ちながら、クラブの現場でもより強力に機能するようリビルドされた作品です。特徴を挙げると――
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リズムの再解釈:よりタイトで現代的なキックやパーカッションへ刷新
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ボーカル配置の再構築:India の存在感を最大化しつつ、空間処理がアップデート
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ループ感の強化:フロアで長時間プレイしても違和感のない設計
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ガラージとラテンフィールの絶妙なバランス
原曲が持つ“喜びに満ちた愛の高揚感”に、クラブ対応のエナジーを注ぎ込んだアップデート版と言えます。
『To Be In Love ’99 Remixes』全曲レビュー
1. To Be In Love (MAW ’99 Mix)
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ジャンル: ソウルフルハウス/NYガラージ
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特徴:MAW自身による代表的な’99バージョンであり、原曲の美しさを最も正統的に継承している。India のボーカルが中心に据えられ、温かみのあるコード、ラテンフィールのパーカッション、クラシックなハットワークが融合し、“MAW印”を強く感じさせる。クラブでの推進力を高めたミックス処理により、より現場向けの万能トラックとして完成している。
2. To Be In Love (Frankie Feliciano Reconstruction)
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ジャンル: ガラージハウス/ソウルフルハウス
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特徴:NYガラージ界の重鎮 Frankie Feliciano による再構築であり、原曲よりもエレガントで洗練されたアレンジが施されている。彼特有の軽やかでスウィングするビートが魅力で、ボーカルを柔らかく包み込みながら前進する構造となっている。MAWより控えめなラテン色により、より都会的でスムースな質感を纏っている。
3. To Be In Love (MAV Dub)
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ジャンル: ダブハウス/NYガラージ
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特徴:ボーカル要素を必要最小限に切り詰め、反復するグルーヴに比重を置いたテクスチャが特徴。低域のうねりが強調され、MAWならではの深みあるパーカッションが立体感を生む。深夜のフロアに最適な“ツール性”を持ち、ボーカルハウスの流れを維持しつつDJの展開を繋ぐ役割を果たす。
4. To Be In Love (Beat Reprise ’99)
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ジャンル: リプライズ/パーカッシブハウス
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特徴:ボーカルを断片的に配置し、ビートとコードの美しさが前面に出る構成。India の声が霧のように漂い、トラック全体に透明感を与えている。多くのDJがブリッジやセットの転換点で重宝するバージョンであり、MAWの音楽的“余白の美”が最も感じられる一曲。
5. To Be In Love (Black Science Swingtime Mastadub)
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ジャンル: ディープハウス/ブラックサイエンス系ダブ
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特徴:Black Science Orchestra による独自のスウィング感とダビーな空間処理が融合したミックス。ディープハウス寄りの解釈で、アナログ質感のベース、スモーキーなキック、グルーブに富むパーカッションが特徴。MAW版とは異なる“黒さ”と渋さを持ち、フロアを深く揺らす中毒性の高いアプローチとなっている。
こんな人におすすめ!
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ソウルフルな女性ボーカルハウスが好きな人
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90年代NYハウス/ガラージの雰囲気が好きな人
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DJプレイで使えるクラシックなツールを探している人
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India の歌声の魅力を最大限味わいたい人
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MAWやMood II Swingなど、黄金期プロデューサーの音作りが気になる人
同じ系統の楽曲・アルバム5選
1. Louie Vega『Diamond Life feat. Julie McKnight』
同じくVegaによる名ソウルフルハウスであり、ボーカルの力を最大限に引き出した構築美が光る曲。温かいコード感とグルーヴがMAW作品と共通し、感情の昂りを美しく表現している。
2. Mood II Swing『Closer』
Mood II Swing の都会的ガラージサウンドを象徴する楽曲。洗練されたキックとシンプルな構成ながら抜群のフロア適性を持ち、MAWのリミックスと共通した“永遠の普遍性”を備えている。
3. India『I Can’t Get No Sleep MAW Remix』
India と MAW の黄金タッグによる代表曲であり、ボーカルハウス史の金字塔。ラテンハウスの熱量とNYガラージの滑らかさが絶妙に融合し、『To Be In Love』と並ぶ必聴曲。
4. Barbara Tucker『Beautiful People CJ Mackintosh Remix』
同時代のNYハウスを象徴するソウルフルなボーカルハウス。高揚感あるサビと豊かなコーラスワークが特徴で、MAW作品と同じ“人間味の温度”を持っている。
5. Kerri Chandler『Rain』
ディープハウスの巨匠による名作であり、深いコードワークとソウルフルなボーカルが融合した作品。MAW的な温もりと、Mood II Swing的な都会感を兼ね備えた一曲。
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まとめ
『To Be In Love ’99 Remixes』は、原曲のソウルフルさを保ちつつ、クラブでの実用性を高めたアップデート版として非常に価値のある作品です。
Masters At Work の人間味あるプロダクション、India の圧倒的な歌声、Mood II Swingによる別解釈――
90年代NYハウスの魅力が一つのEPに集約されています。
ボーカルハウス、ガラージ、NYクラシックが好きな人には絶対に刺さる名作です。