出典:YouTube
2000年前後、Fatboy SlimやThe Chemical Brothers、Propellerheadsらが牽引したビッグビート黄金期。その流れの中で、クラブミュージックをもっとも「雑多で自由で、ロック的」な方向に押し広げたのがCut La Rocです。
『La Roc Rocs』は、そんな彼のエネルギーがもっとも純度高く封じ込められた1stアルバムであり、現在もなおDJ/リスナーから愛され続ける躍動的な作品です。
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アーティストについて
Cut La Roc(カット・ラ・ロック)は、UKブライトンのDJ/プロデューサー。当時のビッグビートの聖地「Skint Records」と関わりが深く、ロック、ヒップホップ、ブレイクビーツ、スクラッチを混ぜたハイブリッドなDJスタイルが高く評価されています。
クラブミュージックのアンダーグラウンド感を残しながら、ロック的なドライブ感やファンキーな黒さを強く押し出すことができる希有なアーティストで、ライブDJとしての評価も高い人物です。
アルバムの特徴・個性
『La Roc Rocs』は、ビッグビートの王道を踏襲しつつも、Cut La Rocならではの“スクラッチ文化とロックの融合”が際立った作品です。特徴としては以下の通りです。
・スクラッチとターンテーブリズムの存在感
ヒップホップ由来のスクラッチ、ジャグリング的フレーズが多用され、同時期のFatboy Slimよりも DJ感と生々しさ が強いです。
・ロック的リフの使用
多くの曲でギターやロック的フックをサンプリングし、グルーヴィで攻撃的なサウンドを形成しています。
・ユーモアとパーティ感
ふざけたサンプリング、奇妙なボイス、過剰な展開など クラブのテンションをリアルに感じさせる“ライブ感” があるのが魅力。
・曲ごとに振れ幅の広いジャンル感
ビッグビート、ブレイクビーツ、ヒップホップ、ダブ、エレクトロの要素が自在に切り替わり、飽きずに最後まで走り抜ける構成です。
『La Roc Rocs』全曲レビュー
1. Halloween (Intro)
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特徴:不穏な笑い声や効果音が散りばめられた、ホラー映画風のイントロ。アルバム全体のパーティ感へとつながる仕掛けとして機能しており、Cut La Rocのユーモラスでやや悪ノリ気味の世界観が最初から提示される構成となっている。
2. Can U Feel
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特徴:タイトなビートと印象的なヴォイスサンプルが繰り返されるフロア直撃型のトラック。硬いスネアと跳ねるキックのコンビネーションが心地よく、ロック的な勢いを持ちつつクラブの熱量を強く押し出した曲となっている。
3. Hip Hop Bibbedy Bop Bop
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ジャンル:ヒップホップ / エレクトロ
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特徴:タイトルのふざけた語感の通り、遊び心とカオスなエネルギーに満ちた曲である。ロボ声風のサンプル、奇妙なブレイク、ユーモアの効いた展開など、クラブの“バカ騒ぎ”をそのまま閉じ込めたような仕上がり。
4. La Roc Rocs (Edit)
5. N.Y. Pimp
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ジャンル:ヒップホップ / ファンクブレイクス
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特徴:タイトルが示すように、NYのストリート感をまとったファンクネスが特徴。濃いベースラインとファンクギターの断片が絡み、ヒップホップ色の強い“黒い”グルーヴを展開する。
6. Bassheads
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ジャンル:ビッグビート / エレクトロブレイクス
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特徴:太く深いベースを前面に押し出したキラートラック。低音が跳ねるようにうねり、エレクトロニックな要素が曲全体を引き締める。
7. Freeze (Extended Version)
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ジャンル:ヒップホップ / ブレイクビーツ
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特徴:丸みのあるベース、MCの存在感、スクラッチが曲のムードを切り替える。オリジナルよりもグルーヴがより深く浸れる構成で、Cut La Rocの“黒い側面”が堪能できる。
8. Fallen
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特徴:アルバムの中でも感情の起伏が静かに現れる落ち着いたトラック。メランコリックなシンセとゆったりしたビートが漂うように進み、クラブ的熱狂から距離を置いた内省的なムードが特徴。
9. Makin’ It Hot
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ジャンル:ビッグビート / ファンクブレイクス
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特徴:ファンキーなホーンと跳ねたビートが“パーティの加速”を感じさせる楽曲。中盤に大胆なブレイクが入り、そこから一気に爆発する構成はCut La Rocのライブ的演出を象徴している。
10. Post Punk Progression
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ジャンル:ブレイクビーツ / ロックブレイクス
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特徴:ポストパンク的ギターリフが印象的に響くクールな楽曲。硬質なビートと刺すようなギターの組み合わせにより、ロックとブレイクビーツの境界を曖昧にするようなサウンドを形成している。
11. Chasin’ the Voodoo
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ジャンル:エレクトロ / ブレイクビーツ
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特徴:微かにスピリチュアルなムードを感じさせる一方、鋭いビートが曲を常に前へ押し進める。Cut La Rocのサウンドの複雑さと多彩さを象徴する締めにふさわしい楽曲。
こんな人におすすめ!
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Fatboy SlimやThe Chemical Brothersの周辺アーティストを深掘りしたい人
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パーティ感の強いエネルギッシュなクラブサウンドが好きな人
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スクラッチやターンテーブリズムの独特のノリが好きな人
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ロックとクラブミュージックの境界を楽しみたい人
同じ系統の楽曲・アルバム5選
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Fatboy Slim - 『You’ve Come a Long Way, Baby』
ビッグビートの代表作であり、サンプリングの快楽性とパーティ感が極まった名盤。Cut La Roc同様、ユーモアと強烈なビートが魅力。 -
The Chemical Brothers - 『Dig Your Own Hole』
ロック的アティテュードとエレクトロニックなサウンドを融合した傑作。重厚なブレイクビーツとサイケ的な展開の幅が共通点として大きい。 -
Propellerheads『Decksandrumsandrockandroll』
ブレイクビーツとスパイ映画的なクールさが共存するハイブリッドなアルバム。Turntable文化への敬意も強く、Cut La Rocと通じる部分が多い。 -
Lo Fidelity Allstars - 『How to Operate with a Blown Mind』
ダークでグルーヴィなブレイクビーツアルバム。重低音とサイケデリックなムードがCut La Rocの荒々しさと近い。 -
Freestylers - 『We Rock Hard』
ヒップホップとブレイクビーツを融合したパワフルな作品。スクラッチ、MC、ロック的要素がミックスされており、非常に相性がよい。
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まとめ
『La Roc Rocs』は、ビッグビート黄金期を象徴しつつも、Cut La RocのDJ的アプローチが強く現れた、唯一無二のアルバムです。
ロック、ブレイクビーツ、ヒップホップ、エレクトロを縦横無尽に横断し、クラブの熱気やライブ感をそのままパッケージしたような生々しさがあります。
ビッグビートを掘り下げたい人はもちろん、ロック好きやDJ好きにも刺さる内容です。
2000年代のクラブカルチャーを知るうえで絶対に外せない一枚です。
