出典:YouTube
クラブミュージックの中でも、とりわけ情緒の余白と空気の透明度を大切にしてきたのがLane 8です。
2020年にリリースされた『Cross Pollination』は、タイトルどおり“受粉=交わり”をテーマに、アンビエント〜ディープ・ハウス〜ポストEDMの間を静かに行き来する作品です。
派手なドロップやEDM的ピークを避けつつ、メロディの切なさと音像の奥行きで聴き手を没入させるタイプのアルバムになっています。
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アーティストについて
Lane 8(本名:Daniel Goldstein)はアメリカ・サンフランシスコ出身のプロデューサーであり、Anjunadeep周辺からキャリアを広げ、ディープ・ハウスとアンビエント、フォーク的抒情を架橋する独自のサウンドを築いてきました。
ライブでは「This Never Happened」というコンセプトを掲げ、録画/撮影禁止で音楽の体験に集中する姿勢を取る点が大きな特徴です。デジタル時代において逆説的にファン体験を強めるアーティストでもあります。
アルバムの特徴・個性
- 完璧なバランスのコラボレーション
本作は全編を通して、ゲストボーカルや共同プロデューサーとの共作で構成されています。Lane 8のシグネチャーサウンドである「温かみのあるシンセ」と、多彩なアーティストの個性が文字通り受粉(Cross Pollination)し合い、一曲ごとに異なる風景を見せてくれます。
- 自然界との調和を感じさせる質感
電子音楽でありながら、どこか森や海、光の移ろいを感じさせるオーガニックな質感が漂っています。デジタルな冷たさを排除し、聴き手の肌に馴染むような音の層が重なっています。
『Cross Pollination』全曲レビュー
1. And We Know It Was Our Time (with Massane)
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ジャンル: プログレッシブ・ハウス
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特徴: フランスのプロデューサーMassaneとの共作。アルバムの幕開けに相応しい、夜明けのような開放感を持った楽曲。じわじわと高まる高揚感と、切なくも前向きなメロディラインが、聴き手を一気にLane 8の深い世界観へと引き込んでいく。
2. Shatter (with OTR)
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ジャンル: メロディック・エレクトロニカ
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特徴: 新進気鋭のプロデューサーOTRとの共作。クリスタルのような煌めきを持つピアノの音色と、繊細なビートが絡み合う。タイトルの通り、何かが砕け散る(Shatter)瞬間のような、儚くも鮮烈な美しさを湛えている。
3. Buggy (with Yotto)
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ジャンル: プログレッシブ・テクノ
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特徴: Anjunadeepの盟友Yottoとの強力なタッグ。Lane 8の繊細さに、Yotto特有の少しダークでエッジの効いたグルーヴが加わっている。フロアの熱気を感じさせつつも、ヘッドフォンで聴くと緻密な音響工作が際立つ。
4. Run (with Kasablanca)
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ジャンル: メロディック・ハウス / テクノ
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特徴: Kasablancaを迎え、アルバムの中でも特にエネルギッシュな側面を見せる。力強いベースラインと、どこかクラシック・ロックのような叙情性を帯びたメロディが疾走する。開放的なカタルシスに満ちたトラック。
5. Matcha Mistake (with Kidnap)
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ジャンル: ディープ・ハウス / アンビエント
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特徴: Kidnapとの共作による、極めてミニマルで内省的な楽曲。余白を活かした音の配置が、深い落ち着きを与える。Lane 8の「引き算の美学」が結実した一曲といえる。
6. Roll Call (with Anderholm)
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ジャンル: プログレッシブ・ハウス
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特徴: Anderholmの持つ独特のテクスチャが加わることで、楽曲に深い奥行きが生まれている。繰り返されるフレーズがトランス状態を誘発し、感情の波がゆっくりと押し寄せてくるような壮大なスケール感を持っている。
7. Out of Sight (with Hexlogic)
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ジャンル: ディープ・ハウス
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特徴: アルバムを締めくくるのは、Hexlogicとの緻密なプロダクションが光るこの曲。視界から徐々にフェードアウトしていくような、幻想的な余韻を残す。音楽が止まった後も、心地よい静寂が心に残り続ける。
こんな人におすすめ!
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メロディック・ハウスやディープ・ハウスのエモーショナルな側面が好きな人
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アンビエントとハウスの中間が好きな人
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Ben BöhmerやYottoなど、Anjunadeep系のサウンドが好きな人
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スマートフォンの通知をオフにして、一人の世界に没頭したい人
- 仕事や読書、深夜作業のBGMを探している人
同じ系統の楽曲・アルバム5選
1. Ben Böhmer『Breathing』
現代メロディック・ハウスシーンを象徴する一枚。深い哀愁を湛えたピアノとオーガニックなビートの融合は、Lane 8の情緒的な世界観と完璧に呼応する。
2. Sultan + Shepard『Something, Everything』
Lane 8のレーベル「This Never Happened」からリリース。彼らもまた、繊細でクリスタルな質感のサウンドを得意とし、アルバム全体で一つの物語を紡ぐ。
3. Massane『Another Dawn』
「And We Know It Was Our Time」で共演したMassaneのソロ作品。Lane 8譲りのメロディックな感性と、より軽やかで瑞々しいギターの響きが特徴。
4. Le Youth『Reminisce』
90年代のR&Bやハウスのノスタルジーを、現代のプログレッシブ・ハウスに昇華させたスタイル。その切なくも心地よいメロディに魅了される。
5. Marsh『Lailonie』
Anjunadeepを代表するアーティスト。より深いディープ・ハウスの領域を追求しており、大地を感じさせるようなオーガニックな響きが、『Cross Pollination』の質感と非常に近い。
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まとめ
『Cross Pollination』は、ディープ・ハウスを起点としながら、アンビエント/チルアウト/ポストEDMを受粉させるように組み立てられた作品です。
クラブミュージックのなかでも、情緒と余白を楽しむ路線が好きな人にとっては非常に居心地の良いアルバムに仕上がっています。派手な展開はないものの、長く聴ける音楽の典型といえるでしょう。