出典:YouTube
1980年代が終わりを告げようとしていた頃、イギリスのマンチェスターから世界を塗り替えるような、あまりにも美しく、そして不遜な音が響き渡りました。
The Stone Roses(ザ・ストーン・ローゼズ)が1989年に発表したデビューアルバム。この一枚が音楽史に刻んだインパクトは、単なる「流行」を超え、後のブリットポップ狂騒曲の種を蒔き、ダンス・ミュージックとロックを完全に融合させた革命でした。
今回は、全ロックファンにとっての聖典であり、永遠のマスターピースである本作を、全12曲の構成で徹底的にレビューしていきます。
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アーティストについて
The Stone Rosesは1980年代マンチェスター・シーンを代表するバンドです。ボーカルのIan Brown、ギターのJohn Squireを中心に結成されました。
彼らはポストパンク以降のギターロックを再構築し、ダンスビートと融合させることで「マッドチェスター」ムーブメントの象徴となりました。その影響は後のOasisやBlurなどへと受け継がれていきます。
アルバムの特徴・個性
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Reni とMani による鉄壁のグルーヴ
ロックバンドでありながら、リスナーの腰を揺らすグルーヴ。特にReni のドラミングは「神」と称されるほどしなやかです。 -
John Squire のギター・ワーク
煌びやかなアルペジオから、Jimi Hendrix のようなサイケデリックな爆発までを網羅しています。 -
永遠のメロディ
The Beatles やThe Byrds の流れを汲む美しいメロディを、Ian Brown がどこか危うく、しかし不思議な説得力を持って歌い上げます。
『The Stone Roses』全曲レビュー
1. I Wanna Be Adored
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ジャンル: サイケデリック・ロック / シューゲイザー先駆
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特徴: 地を這うようなベースラインから幕を開ける、史上最高のオープニング曲の一つ。徐々に熱を帯びるフィードバック音は、聴き手を陶酔の淵へと引きずり込む。
2. She Bangs the Drums
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ジャンル: インディー・ポップ
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特徴: Reni のドラムが鳴った瞬間に世界が色彩を帯びる、多幸感溢れるキラーチューン。完璧なポップ・メロディと弾けるようなギター。ここには「若さ」の輝きとその瞬間性が、完璧な形でパッケージされている。
3. Waterfall
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ジャンル: サイケデリック・フォーク / ダンス
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特徴: タイトル通り、水が流れ落ちるようなギターリフが繰り返される。Reni のハイハット・ワークが魔法のようなグルーヴを生み出しており、ロックとダンス・ミュージックの境界線が完全に消失している。
4. Don't Stop
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ジャンル: 実験的サイケデリア
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特徴: 「Waterfall」を逆回転させ、新たなメロディを乗せた実験作。アシッド・ハウスの影響を感じさせるドラッグ・ライクな浮遊感があり、当時のマンチェスターの空気感を象徴している。
5. Bye Bye Badman
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ジャンル: インディー・ロック
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特徴: 1968年の五月革命をテーマにした歌詞とは裏腹に、非常に軽快でキャッチーなメロディが展開される。コーラスのハーモニーはThe Beatles を彷彿とさせ、バンドのメロディメイカーとしての成熟を感じさせる。
6. Elizabeth My Dear
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ジャンル: フォーク(カバー・モチーフ)
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特徴: 「スカボロー・フェア」の旋律を借りた、1分足らずの短いアコースティック・ナンバー。王室制への批判を美しく静かな旋律で歌うという、彼ららしいアイロニーに満ちた小品。
7. (Song for My) Sugar Spun Sister
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ジャンル: インディー・ポップ
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特徴: 甘酸っぱいメロディが際立つ、隠れた名曲。Ian Brown のヴォーカルが最も優しく響く楽曲の一つであり、瑞々しいギターの音色は、のちのブリットポップ勢に多大な影響を与えた。
8. Made of Stone
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ジャンル: サイケデリック・ロック
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特徴: 美しくも不穏なメロディラインを持つ代表曲の一つ。サビで視界がパッと開けるようなドラマチックな展開は、John Squire のソングライティング能力の頂点を示している。
9. Shoot You Down
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ジャンル: ジャズ・ファンク・ロック
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特徴: レイドバックした、落ち着いたグルーヴが支配する楽曲。リズム隊による「溜め」の効いたアンサンブルが絶品であり、バンドの音楽的な懐の深さを感じさせる。
10. This Is the One
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ジャンル: アンセム・ロック
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特徴: 静かな序盤から、サビでスタジアム・ロック級の解放感へと至る構成が見事。マンチェスター・ユナイテッドの入場曲としても知られ、高揚感を煽るエネルギーに満ち溢れている。
11. I Am the Resurrection
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ジャンル: ダンス・ロック / エクステンド・ジャム
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特徴: 8分に及ぶ壮大な叙事詩。後半、ヴォーカルが消えてから始まる長いジャム・セッションは、まさに「復活」の名にふさわしい。ロックのダイナミズムとダンスの陶酔感が完全に一体化した、音楽史に残るフィナーレ。
12. Fools Gold
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ジャンル: マッドチェスター / ファンク・ロック
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特徴: アルバムの精神を象徴する、90年代の扉を開けた重要曲。ファンキーなベースラインとワウ・ギターが延々と反復される中、Ian Brown が囁くように歌う。ロックとレイヴ・カルチャーが最も幸福に融合した瞬間がここに。
こんな人におすすめ!
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ロック名盤の頂点を知りたい人
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ダンサブルなギターロックを探している人
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ブリットポップの源流を知りたい人
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サイケデリックな浮遊感に浸りたい人
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不朽のメロディを求めている人
同じ系統の楽曲・アルバム5選
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The Byrds『Younger Than Yesterday』
12弦ギターの煌めきと美しいハーモニー。The Stone Roses が愛した60年代サイケ・フォークの原点であり、ギターサウンドのDNAを強く感じることができる。 -
Primal Scream『Screamadelica』
The Stone Roses が扉を開けた「ロックとダンスの融合」を、さらに推し進めた傑作。多幸感溢れるサウンドスケープを共有している。 -
Oasis『Definitely Maybe』
The Stone Roses の「不遜な態度」と「圧倒的なメロディ」を継承した金字塔。マンチェスター・ロックの魂を次世代へと繋いだ重要作である。 -
The La's『The La's』
同じく80年代末に現れた、完璧なメロディを持つバンドの唯一作。純粋なインディー・ポップの輝きという点で、ローゼズと双璧をなす存在。 -
Ride『Nowhere』
シューゲイザーの代表作。「I Wanna Be Adored」が持っていた浮遊感やフィードバック・ノイズを、より轟音へと拡張させた同時代の重要作。
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まとめ
『The Stone Roses』は、ギターロックとダンスミュージックの融合という革新を成し遂げた歴史的名盤です。
本作が提示したサウンドは、90年代UKロックの礎となり、現在も色褪せることなく鳴り響いています。
ロックの転換点を体験したいなら、必聴の一枚です。