出典:YouTube
「あの名曲が、もしも全速力のパンクロックになったら?」 そんな音楽ファンの妄想を、最高に贅沢なメンバーで、最高に真剣に(かつおふざけ全開で)形にし続けているのがMe First And The Gimme Gimmesです。
単なるネタ作品にとどまらず、演奏力・アレンジ・選曲すべてにおいて完成度が高く、音楽好きであればあるほど楽しめる一枚です。
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アーティストについて
Me First And The Gimme Gimmesは、Fat Mike(NOFX)、Joey Cape(Lagwagon)、Chris Shiflett(Foo Fighters)らによるパンクロック・スーパーバンドです。
彼らの最大の特徴は“カバー専門バンド”であること。しかもただのカバーではなく、ポップス、カントリー、R&B、ミュージカル楽曲まであらゆるジャンルをパンクロックに変換するというスタイルを確立しています。
原曲へのリスペクトを保ちながらも、スピード感とユーモアを加えたアレンジは唯一無二。聴き手に「知っている曲なのに新しい」という感覚を与えてくれます。
アルバムの特徴・個性
通算4枚目となる本作『Take A Break』には、これまでの作品とは一味違う魅力が詰まっています。
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ブラックミュージックへのパンクな回答
R&B/ソウルの大御所たちの名曲が選曲されています。メロウな原曲を、BPM 200超えの高速2ビートで叩き切る快感は唯一無二です。 -
「歌」の良さが際立つアレンジ
激しい演奏の中でも、原曲の美しいメロディラインは決して崩しません。むしろパンク特有のシンプルさが、名曲のメロディの強さを再認識させてくれます。 -
遊び心満載のオマージュ
曲のイントロや間奏に、別の有名なパンクソングのリフを忍ばせるなど、リスナーのニヤリを誘う仕掛けが随所に散りばめられています。
『Take A Break』全曲レビュー
1. Where Do Broken Hearts Go
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ジャンル:メロディック・ハードコア / パンク
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特徴:Whitney Houston の壮大なバラードが、幕開けと共に凄まじい速度で駆け抜ける。イントロの哀愁漂うギターリフから一転し、正確無比な高速2ビートが炸裂する。
2. Hello
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ジャンル:ポップ・パンク
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特徴:Lionel Richie の代表的なバラードをカバー。原曲のしっとりとした雰囲気は微塵もなく、初めから終わりまでフルスロットル。特筆すべきは、サビでの突き抜けるような疾走感。重厚なギターサウンドが重なり合いながらも、メロディの甘さはしっかりと残されており、聴き終えた後には爽快感だけが残る。
3. End of the Road
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ジャンル:スケート・パンク
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特徴:Boyz II Men による90年代R&Bの金字塔が、驚きの変貌を遂げた。原曲の持ち味である美しいハーモニーを、あえてパンク的な「ガサツな合唱」で表現する遊び心が面白い。
4. Ain't No Sunshine
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ジャンル:ハード・パンク / ロック
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特徴:Bill Withers の名曲。原曲の持つブルージーでダークな質感を、ザクザクとした刻み重視のギターサウンドで表現している。
5. On the Road Again
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ジャンル:パンク・ロック
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特徴:Willie Nelson のカントリー・クラシックだが、本作のテーマに合わせてR&B的な解釈も混じっている。旅の情景を歌う原曲の軽やかさを、ドライブ感溢れるリズム隊が支える。
6. Isn't She Lovely
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ジャンル:メロディック・パンク
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特徴:Stevie Wonder の多幸感溢れる名曲。幸福感に満ちたメロディラインを高速パンクに乗せることで、原曲とはまた違う、心躍るようなパンク・アンセムへと生まれ変わっている。
7. I Believe I Can Fly
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ジャンル:エモーショナル・パンク
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特徴:R. Kelly の感動的なバラード。Bメロからサビへ向けてのビルドアップは、ダイブやモッシュが起きるライブハウスの光景を想起させる。ドラマチックな展開をあえて直線的なパワーで押し切る潔さが心地よい。
8. Oh Girl
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ジャンル:ソウル・パンク
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特徴:The Chi-Lites による70年代ソウルの傑作。原曲の甘く切ないファルセットの世界を、スパイクは力強い地声で歌い上げる。
9. I'll Be There
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ジャンル:ポップ・パンク / スカ・パンク
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特徴:The Jackson 5 で知られる名曲。Michael Jackson の幼いながらも完璧な歌唱に対し、こちらは「大人の男たちが全力でふざけ、かつ完璧に演奏する」というスタイルで対抗している。
10. Mona Lisa
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ジャンル:パンク / オールド・ロック
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特徴:Nat King Cole によるスタンダード・ナンバーを、R&B的解釈も含めて現代のパンクに落とし込んでいる。スローテンポな原曲を倍速以上のスピードで演奏することで、楽曲に秘められていたエッジを強引に引き出している。
11. Save the Last Dance for Me
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ジャンル:ロックンロール・パンク
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特徴:ザ・ドリフターズの名曲「ラストダンスは私に」。3拍子的な原曲の揺れを無視し、強引に4つ打ちパンクのリズムに叩き込んでいる。
こんな人におすすめ!
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知っている曲を違う形で楽しみたい人
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ミュージカル楽曲に興味がある人
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ドライブやパーティのBGMを探している人
- ユーモアのある音楽が好きな人
- ポップパンクやメロコアが好きな人
同じ系統の楽曲・アルバム5選
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NOFX『I Heard They Suck Live!!』
Fat Mike の本家バンドによるライブ盤。Me First And The Gimme Gimmesに通じる「おふざけ」と「超一流の疾走感」が詰まっており、パンクロックが持つパーティのような空気感を体感できる。 -
New Found Glory『From the Screen to Your Stereo』シリーズ
ポップ・パンクの雄による映画主題歌カバー集。甘酸っぱいメロディとパワフルなギターの組み合わせが好きな人には最適。 -
SNUFF『Potatoes and Melons...』
UKパンクの重鎮。日本の歌謡曲やアニメソング、さらには「おべんとうばこのうた」までをも超高速パンクに作り変えるセンスは、ギミーズと共通する「遊び心」に満ち溢れている。 -
Reel Big Fish『A Best of Us for the Rest of Us』(Disc 2 - Covers)
スカ・パンク界の重鎮によるカバー集。ホーンセクションを加えた華やかなアレンジは、パンクの衝動に加えて「踊れる」楽しさを倍増させている。 -
Lagwagon『Let's Talk About Feelings』
カバーではないが、「泣きのメロディ」と「爆走するドラム」の完成形がここにある。R&Bのメロディをパンクに落とし込む彼らの卓越したセンスの原点を知る上で、欠かせない一枚。
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まとめ
Me First And The Gimme Gimmesの『Take A Break』は、ただの「面白いカバー」の枠を超えた、卓越したパンクロック・アルバムです。
彼らは原曲をからかっているわけではありません。むしろ、これほど激しく、これほど速く演奏しても崩れない「名曲の旋律」を、パンクという手法を使って讃えているようにも聴こえます。
R&Bの名曲たちが持つ情熱と、パンクロックの疾走感。その二つが交差した時、そこには理屈抜きの楽しさが生まれます。日常に少し刺激が足りない時、このアルバムを爆音で流してみてください。