出典:YouTube
2001年、新しいミレニアムの幕開けとともに日本の音楽シーンに巨大な金字塔が打ち立てられました。それが、m-floの2ndアルバム『EXPO EXPO』です。
ポップ、ヒップホップ、R&B、エレクトロニカを自在に横断しながら、洗練されたサウンドと強烈な個性を両立しています。
「2012年の仮想万博」をコンセプトに掲げ、未来的なヴィジョンを提示した本作は、今なお色褪せないJ-POPと最先端サウンドの究極の融合体として語り継がれています。
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アーティストについて
m-floは、LISA(Vo)、VERBAL(MC)、Taku Takahashi(DJ/プロデューサー)の3人からなるプロデュース・ユニットです。
知的な韻を踏み分けるバイリンガルなラップ、圧倒的な歌唱力と透明感を持つボーカル、世界のダンスミュージックの潮流をいち早くJ-POPに落とし込むプロデュース・ワーク。
この3つの個性がぶつかり合い、1990年代後半から2000年代の日本の音楽シーンにおいて、彼らは「未来」を体現する存在でした。
本作『EXPO EXPO』は、そんな彼らの第1期(LISA在籍時)の集大成ともいえる作品です。
アルバムの特徴・個性
2001年にリリースされた本作は、一つの巨大なエンターテインメント・パビリオンのような構成を持っています。
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ジャンルの完全なるクロスオーバー
R&B、ヒップホップをベースにしつつ、ハウス、2-step、ドラムンベース、さらにはボサノヴァまでを飲み込んだ、極めて雑食で洗練されたサウンドスケープ。 -
圧倒的なポップ・センス
実験的なトラックメイクを行いながらも全曲がキャッチーなメロディで、チャートのトップを走りながら音楽ファンを唸らせるという離れ業を成し遂げています。 -
時代を先取りしたプロダクション
Takuによる緻密なビートメイクとVERBALのタイトなラップ、LISAのソウルフルな歌声。この3点のバランスが奇跡的なレベルで成立しています。
『EXPO EXPO』全曲レビュー
1. 正門
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ジャンル:イントロダクション
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特徴:「バーチャル万博」への入場を告げるアナウンスが響き、アルバムの幕が開く。リスナーを2012年の近未来へと一気にワープさせる、シネマティックな演出。
2. prism
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ジャンル:2-step / R&B
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特徴:当時のトレンドだった2-stepのビートを大胆に導入した爽快なナンバー。LISAの軽やかなボーカルとVERBALの流れるようなラップが、光の粒のように弾ける名曲。
3. 東門
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ジャンル:インタールード
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特徴:会場の東側に足を踏み入れたことを告げるSE。喧騒やアナウンスが混じり合い、コンセプトアルバムとしての世界観を補強している。
4. EXPO EXPO
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ジャンル:フューチャー・ファンク
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特徴:アルバムのタイトル曲。重量感のあるベースラインとスペーシーなシンセが絡み合い、万博の賑わいや雑多なエネルギーを音像化したようなカオスでありながら完璧に制御されたトラック。
5. What It Is
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ジャンル:ヒップホップ / R&B
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特徴:VERBALのタイトなラップのキレが際立つクールなミディアム・チューン。洗練された都会的な空気感の中にも、☆Takuらしい緻密な音響工作が光る。
6. orbit-3
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ジャンル:プログレッシブ・ハウス / ポップ
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特徴:美しく切ないメロディラインが印象的な、広大な宇宙を感じさせる楽曲。ダンスミュージックの快楽性と、日本人の琴線に触れるメロディセンスが高度に融合している。
7. 南門
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ジャンル:インタールード
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特徴:会場の南側への移動。一息つかせつつ、次の楽曲へとリスナーの意識をシームレスに繋ぐ重要な演出ピース。
8. Dispatch
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ジャンル:ヒップホップ
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特徴:DEV LARGE、NIPPSを迎え、Vincent Gallo の声までをサンプリングした豪華なトラック。日本のヒップホップ界への敬愛を感じさせる、硬派で重心の低い一曲。
9. magenta rain
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ジャンル:ダブ / ボサノヴァ・ポップ
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特徴:雨を想起させる叙情的な旋律と、ダブの要素を取り入れたリズムが心地よい。LISAの歌声が持つ繊細な表情が、マゼンタ色の幻想的な世界を描き出している。
10. 中央タワー
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ジャンル:インタールード
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特徴:万博のシンボルである中央タワーへ到着。会場の全景を見渡すような開放的なSEが、アルバムのクライマックスに向けた「溜め」の役割を果たす。
11. come again
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ジャンル:2-step / R&B
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特徴:m-floの代名詞とも言える国民的ヒット曲。日本のJ-POPシーンに2-stepを決定づけた歴史的一曲であり、フロアの熱気と都会の孤独を同時に描き出す。
12. 西門
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ジャンル:インタールード
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特徴:会場の出口、あるいは終盤への入り口である西門へ。旅の終わりが近いことを予感させる、少し落ち着いたトーンのアナウンスが流れる。
13. Yours only,
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ジャンル:R&B バラード
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特徴:m-flo史上屈指のエモーショナルなバラード。情感豊かなストリングスと現代的なビートが融合し、愛の深さを宇宙的なスケールで描き出した感動的な名曲。
14. How You Like Me Now?
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ジャンル:R&B / ダンス
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特徴:シングルヒットも記録した初期のアンセム。ファンキーなギターのリフと弾けるようなビートが、最高のポジティブ・エネルギーを放出するパレードのような楽曲。
15. アリガトウ
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ジャンル:アウトロ
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特徴:万博閉門のアナウンス。リスナーを現実世界へと戻す儀式でありながら、素晴らしい体験をした後のような多幸感ある余韻を残して締めくくられる。
16. The Bandwagon
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ジャンル:ヒップホップ・ジャム
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特徴:アルバムの最後に添えられたボーナストラック的な一曲。メンバー同士の親密な空気感や、音楽を楽しむ純粋な喜びが伝わってくるファンキーなナンバー。
こんな人におすすめ!
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J-POPとヒップホップの融合が好きな人
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未来的なコンセプトアルバムを求めている人
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ダンスミュージックと歌モノの融合を楽しみたい人
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R&Bやクラブミュージックに興味がある人
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2000年代初頭のJ-POPを深掘りしたい人
同じ系統の楽曲・アルバム5選
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Monday Michiru『Optimista』
アシッドジャズやドラムンベースを融合させた都会的なサウンド。m-floとも交流の深い彼女の作品は、洗練された「大人のダンスミュージック」として本作と共鳴する。 -
Fantastic Plastic Machine『beautiful.』
田中知之によるプロジェクト。ボサノヴァやハウスをサンプリング美学で繋ぎ合わせたオシャレなサウンドは、本作の持つ「万博的」なワクワク感と通底している。 -
宇多田ヒカル『Distance』
同年にリリースされたJ-R&Bの金字塔。最先端のプロダクションと圧倒的なメロディセンスの両立という点で、当時のシーンを共に牽引した双璧と言える。 -
The Brand New Heavies『Brother Sister』
ファンキーなベースラインとソウルフルなボーカルの組み合わせ。m-floが持つブラックミュージックへの深い造詣と共通のルーツを感じさせる。 -
Artful Dodger『It's All About The Stragglers』
UKの2-stepシーンを代表する一枚。本作『EXPO EXPO』の核となる2-stepというリズム体系の本流を知る上で、欠かせない名盤。
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まとめ
『EXPO EXPO』は、J-POPとクラブミュージックを融合させた先駆的な作品で、今なお高い完成度を誇るアルバムです。
コンセプト性、サウンドデザイン、楽曲のクオリティ、そのすべてが高水準でまとまっており、日本のポップミュージックの可能性を大きく広げた一枚といえるでしょう。
繰り返し聴くことで、その緻密な構造と魅力がより深く理解できる作品です。