雑食音楽遍歴

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FM Attack『Cosmic』(2023)|80s回帰と現代性が交差するシンセウェイヴの到達点

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出典:YouTube

レトロ・フューチャーなサウンドが再評価される中、シンセウェイヴ/レトロウェイヴのシーンは年々成熟を続けています。そんな流れの中で、確かな存在感を放っているのがFM Attackです。

ネオン煌めく夜のドライブ、あるいは遠い銀河を旅するような、極上のレトロ・フューチャー体験。

2023年作『Cosmic』は、どこかノスタルジックで人間的な温度も併せ持ったアルバムに仕上がっています。

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アーティストについて

FM Attackは、カナダ出身のプロデューサー、Shawn Ward によるソロ・プロジェクトです。

2009年に発表された伝説的アルバム『Dreamatic』は、現在のシンセウェイヴやレトロウェイヴというジャンルの基盤を作った一枚として知られています。

80年代のNew Order やJohn Hughes 監督の映画作品に漂う「あの頃の空気感」を、現代のプロダクションで見事に再現する手腕は、世界中のシンセ・ファンから絶大な支持を得ています。

彼の音楽は、そこにある種の切なさやロマンチシズムを宿らせることで独自の「ドリーム・ポップ的なエレクトロ」を確立しているのが特徴です。

アルバムの特徴・個性

2023年にリリースされた本作は、タイトルの通り「宇宙(Cosmic)」をテーマにした広大なサウンドスケープが展開されています。

  • 深化したシネマティックな音像
    過去作に比べ、より空間の広がりを感じさせるアンビエントな質感が強調されています。映画のサウンドトラックのような物語性を強く感じさせる構成です。
  • 洗練されたアナログ・シンセの響き
    温かみがありつつもどこか冷ややかなアナログ・シンセの音色が、宇宙の「孤独」と「美しさ」を完璧に表現しています。
  • ノスタルジーを超えた「普遍性」
    80年代という枠を超えて、純粋に高品質なエレクトロニック・ミュージックとして機能する普遍的なメロディラインが魅力です。

『Cosmic』全曲レビュー

1. Timeless

  • ジャンル:シンセウェイヴ

  • 特徴:星々が瞬き始めるような高揚感に満ちたトラック。地を這うような重厚なシンセ・ベースと上層を漂う透明感のあるパッド音が重なり、リスナーを一瞬にして重力から解放する。

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2. City Lights

  • ジャンル:80s シンセ・ポップ / ドリーム・ポップ

  • 特徴:透き通るようなヴォーカルと軽快ながらもどこか哀愁を帯びたシンセの旋律が、完璧に調和している。都会の夜を疾走するような心地よい疾走感がたまらない。

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3. A Million Miles Away

  • ジャンル:スペース・ポップ / レトロウェイヴ

  • 特徴:「百万マイル彼方へ」というタイトルの通り、宇宙の彼方へと意識を飛ばされるような浮遊感のある一曲。FM Attackが得意とする、切なさを孕んだアルペジオが全編にわたって鳴り響き、リスナーを深いノスタルジーへと誘う。

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4. Invisible

  • ジャンル:エレクトロ・ポップ / ダークウェイヴ

  • 特徴:少し抑え気味のトーンで展開される内省的なトラック。無機質なビートの上に霧のように重なるシンセのレイヤーが美しく、見えない存在や感情を音の質感だけで表現しているかのような知性を感じる。

5. Rain

  • ジャンル:チルウェイヴ / ダウンテンポ

  • 特徴:宇宙に降る雨を想像させるような、しっとりとした質感の楽曲。リバーブが深くかかったドラムと揺蕩うようなメロディが、夜の窓辺で雨音を聴いているような没入感を作り出している。

6. Strange Ways

  • ジャンル:イタロ・ディスコ / シンセウェイヴ

  • 特徴:80年代のイタロ・ディスコを現代的な解釈でアップデートしたような、グルーヴィーな一曲。反復されるリズムと少し不穏な響きを持つシンセ・リードが交錯し、サイバーパンク的な夜の裏通りを感じさせる。

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7. Elevate

  • ジャンル:スペース・シンセ

  • 特徴:気分を上昇させるような、ポジティブなエネルギーに満ちたインスト曲。幾重にも重なるシンセの和音が空高く昇っていくような感覚を与え、アルバムのクライマックスに向けた高揚感を演出している。

8. Secrets

  • ジャンル:ドリーム・ポップ / エセリアル

  • 特徴:秘密を囁き合うような、親密で幻想的な雰囲気を持つ楽曲。ヴォーカルの処理が非常に美しく、エレクトロニックなサウンドの中に確かな人間的な体温とロマンティシズムが宿っている。

9. City Lights (Betamaxx Remix)

  • ジャンル:アウトラン / シンセウェイヴ

  • 特徴:シーンの実力者Betamaxxによるリミックス。オリジナルよりもビートの輪郭が強調され、よりドライビング・ミュージックとしての側面が強まっている。深夜の高速道路を滑走するような、力強い推進力を備えたアレンジ。

10. City Lights (Jasper De Ceuster Remix)

  • ジャンル:シネマティック・シンセ / プログレッシブ

  • 特徴:Jasper De Ceusterによるリミックスは、より壮大でドラマチックな展開を見せる。空間の広がりを最大限に活かしたプロダクションで、アルバムのフィナーレを飾るに相応しい、宇宙の果てへと消えていくような余韻を残すエンディング。

こんな人におすすめ!

  • 80年代の映画音楽やエレクトロポップが好きな人

  • 夜のドライブや深夜の作業BGMを探している人

  • 宇宙・SF・未来的な世界観に惹かれる人

  • メロディ重視でエモーショナルな音楽を求めている人

  • シンセウェイヴ/レトロウェイヴをこれから聴き始めたい人

同じ系統の楽曲・アルバム5選

  1. The Midnight『Endless Summer』
    シンセウェイヴ界のスター。よりポップでサックスなどを多用したアプローチだが、80年代へのノスタルジーという点では本作と双璧をなす。

  2. Timecop1983『Night Drive』
    FM Attackと同様に、ドリーミーで切ない「夢」のようなシンセ・サウンドを得意とするアーティスト。夜のドライブのお供に最適。

  3. Betamaxx『Lost in a Dream』
    本作でリミックスも担当したアーティスト。より硬派なアナログ感と、映画的な構成を好むリスナーにはたまらない一枚。

  4. Kavinsky『OutRun』
    よりダークで硬質なサウンドが特徴。シンセウェイヴの基盤を語る上で外せない作品。

  5. Gunship『Gunship』
    よりシネマティックで重厚な世界観を持つ。シンセウェイヴの枠を超えて、壮大な物語を感じさせるプロダクションが魅力。

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まとめ

『Cosmic』は、FM Attackの魅力が凝縮された完成度の高いアルバムです。

シンセウェイヴの持つノスタルジーと未来感、その両方を高い次元で融合させており、ジャンルを代表する一作と言っても過言ではありません。

派手さだけに頼らず、メロディや空間表現でしっかりと聴かせる作風は、長く聴き続けられる魅力を持っています。シンセウェイヴ初心者にも、既存ファンにも自信を持っておすすめできる作品です。