雑食音楽遍歴

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Lettuce『Rage!』(2008)|アドレナリン全開のファンク体験

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出典:YouTube

ファンクというジャンルは、時代を超えて“グルーヴ”そのものの魅力を伝え続けてきました。

その中でも2000年代以降、ジャズやヒップホップの感覚を取り入れながら進化した“現代ファンク”の重要バンドがLettuce です。

2008年にリリースされた『Rage!』は、彼らの代表作のひとつであり、インストゥルメンタル・ファンクの完成形とも言える一枚です。

テクニックとノリが高次元で融合した本作は、ファンク好きはもちろん、あらゆる音楽ファンに響く魅力を持っています。

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アーティストについて

Lettuce は、ボストンの名門バークリー音楽大学の卒業生たちによって1992年に結成されたインストゥルメンタル・ファンク・バンドです。

メンバーには、Eric Clapton やJohn Mayer のサポートも務めるドラムの天才Adam Deitch、Soulive のメンバーとしても知られるEric Krasno(Gt)やNeal Evans(Key)など、現代音楽シーンを支えるトッププレイヤーが名を連ねています。

バンド名の由来は「Let us play(僕らに演奏させてくれ)」という言葉。その名の通り、演奏することへの純粋な渇望と、ブラック・ミュージックへの深い敬意が彼らのサウンドの根幹にあります。

アルバムの特徴・個性

2008年にリリースされた本作は、まさに「Rage(熱狂)」というタイトルが相応しい仕上がりです。

  • 鉄壁のリズム・セクション
    Adam Deitch の精密かつ重戦車のようなドラムと、Erick Coomes の野太いベースが、聴く者の腰を強制的に揺らします。

  • ヴィンテージへの愛と革新
    James Brown スタイルのタイトなホーン・セクションを継承しつつ、ヒップホップ以降の感性でエディットされたような「鋭さ」があります。

  • 生演奏ヒップホップの極致
    サンプリング素材を思わせるタイトなループ感を、卓越した生演奏で再現するストイックな姿勢が見られます。

『Rage!』全曲レビュー

1. Blast Off

  • ジャンル:プレシジョン・ファンク

  • 特徴:アルバムの幕開けを告げる、爆発的なエネルギーに満ちた楽曲。鋭いホーン・セクションの合図とともに、Adam Deitch の重厚なビートが突き抜ける。これから始まる「熱狂」への完璧なカウントダウン。

2. Sam Huff’s Flying Rage Machine

  • ジャンル:ジャズ・ファンク

  • 特徴:より複雑でテクニカルなアンサンブルが展開される。流麗なキーボードの旋律と、細かく刻まれるカッティング・ギターが心地よい。熟練の職人芸が凝縮された、中盤の盛り上がりが圧巻の一曲。

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3. Move On Up

  • ジャンル:ソウル / ファンク

  • 特徴:Curtis Mayfield の名曲カバー。原曲のポジティブなメッセージはそのままに、よりパーカッシブで現代的な躍動感が加わっている。パワフルなボーカルとホーンの掛け合いが、最高潮の多幸感を演出する。

4. King Of The Burgs

  • ジャンル:ディープ・ファンク

  • 特徴:地の底を這うような野太いベースラインが主役のトラック。シンプル極まりないリフを執拗に繰り返すことで、聴き手をトランス状態へと誘う。これぞレタス、と言わんばかりのストイックな構成。

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5. Need To Understand

  • ジャンル:ジャズ・ファンク / フュージョン

  • 特徴:都会的で洗練された空気感を持つ。Neal Evans のオルガンが縦横無尽に駆け巡り、即興演奏のスリルを存分に味わえる。緻密な計算と、その場の閃きが高いレベルで融合している。

6. Last Suppit

  • ジャンル:オールドスクール・ファンク

  • 特徴:乾いたドラムの音色と、小気味よいギターの絡みが印象的な一曲。派手さはないが、一つ一つの音の配置が完璧であり、ファンクにおける「引き算の美学」を感じさせる。

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7. Dizzer

  • ジャンル:アップテンポ・ファンク

  • 特徴:疾走感あふれるホーンのリフが耳を引く。後半にかけてカオスを増していくソロ回しは、ライブ・バンドとしての彼らの実力を証明している。聴く者のボルテージを一段階引き上げる楽曲。

8. Makin’ My Way Back Home

  • ジャンル:ニューオーリンズ・ファンク

  • 特徴:ザ・ミーターズを彷彿とさせる「タメ」の効いたビートが肝。ゆったりとしたテンポの中に、強烈な粘り気(グルーヴ)が同居しており、体が自然と揺れるのを止められない。

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9. Salute

  • ジャンル:アンセム・ファンク

  • 特徴:威風堂々としたミドル・ナンバー。これまでの楽曲の熱量を凝縮したような、力強いユニゾンが胸を打つ。ファンクの歴史に対する彼らの「敬礼」が伝わってくるような名曲。

10. Speak E.Z.

  • ジャンル:スロウ・ファンク / R&B

  • 特徴:少し速度を落とし、メロウな質感を強調した楽曲。夜の静寂に似合う大人の色気を感じさせつつも、リズム隊の硬派な姿勢は崩れない。アルバムの流れに深みを与える重要な一曲。

11. Express Yourself

  • ジャンル:クラシック・ファンク

  • 特徴:Charles Wright の名曲を、現代の重戦車級リズムでアップデート。誰もが知るフレーズを「レタスの音」で塗り替えていく快感。サンプリング文化への生演奏による回答。

12. Relax

  • ジャンル:サイケデリック・ファンク

  • 特徴:タイトルとは裏腹に、じわじわと体温を上げるような重厚なグルーヴが特徴。エフェクトを多用したギターが、霧の中を彷徨うような浮遊感を演出し、リスナーを深い没入感へと誘う。

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13. By Any Shmeeans Necessary

  • ジャンル:ブレイクビーツ・ファンク

  • 特徴:ヒップホップ・リスナーにも突き刺さるであろう、タフなドラムが主役。サンプリング・ソースとして切り抜きたくなるような、無駄のないキレのあるビートが全編を支配している。

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14. Mr. Yancey

  • ジャンル:ヒップホップ・ファンク

  • 特徴:伝説的プロデューサーJ Dilla への愛が爆発した一曲。独特の「ヨレ」を感じさせるドラム・グルーヴを、生演奏で見事に再現。ヒップホップ以降のファンクの形を提示している。

15. Star Children

  • ジャンル:スペース・ファンク / フィナーレ

  • 特徴:アルバムを締めくくる、宇宙的な広がりを見せる楽曲。壮大なホーンの響きと流麗なソロが交錯し、熱狂の旅を美しく完結させる。

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こんな人におすすめ!

  • とにかく太いビートに飢えている人

  • 高い演奏技術とグルーヴを両立した作品を探している人

  • 生演奏でのヒップホップ・グルーヴを楽しみたい人

  • ファンクやジャズファンクが好きな人

  • ライブ感のあるバンドサウンドが好きな人

同じ系統の楽曲・アルバム5選

  1. Soulive『Next』
    Lettuce の主要メンバーも在籍するユニット。ジャズの洗練とヒップホップのビートが融合した、極上のファンク・サウンドが魅力。

  2. The New Mastersounds『Be Yourself』
    UKファンクの至宝。Lettuceが「剛」なら、彼らは「柔」。軽快なカッティングとオルガンの絡みは、ファンク好きなら避けて通れない。

  3. The Budos Band『The Budos Band II』
    ダップトーン・レコードを象徴するバンド。エチオピア・ジャズ的な妖しさを纏いつつ、ホーンの熱量においてレタスと共鳴する。

  4. Vulfpeck『Thrill of the Arts』
    現代ファンクの旗手。ミニマルな構成ながら、リズムへの尋常ならざるこだわりと過去の偉人への敬意において本作の精神を継承している。

  5. The Meters『Rejuvenation』
    全ての現行ファンクの原点。本作の「Makin’ My Way Back Home」などで見せた深いタメのグルーヴは、この名盤なくしては存在し得ない。

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まとめ

『Rage!』は、ファンクの魅力である“グルーヴ”を現代的に再定義した傑作です。

演奏力、アレンジ、エネルギー、そのすべてが高いレベルで融合しています。インスト中心でありながら飽きさせない構成は、バンドとしての完成度の高さを物語っています。

ファンク初心者にも、コアリスナーにもおすすめできる一枚です。