雑食音楽遍歴

徒然なるままに あの頃好きだった曲、今も聴いている曲を紹介します

Virtuart『Drumz, Bass & Double Cream』(1998)|90年代ゴア・トランスの深層を照らす幻の名盤

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1990年代後半のゴアトランス・シーンには、多くの作品が埋もれてしまったという事実があります。商業流通の限界、当時のネット環境の未発達、アーティスト自身の匿名性の高さ。そんななかで、Virtuart(ヴィルトゥアート)が1998年に残した『Drumz, Bass & Double Cream』は、いまもなおカルト的な存在として語り継がれています。

本作は、当時のフランスのゴア/サイケデリック・トランスのなかでも特に独創的なエッセンスを持ち、後進のアーティストたちに多大な影響を与えました。しかし、フルアルバムとして語られる機会は意外なほど少なく、その音楽的価値はもっと掘り下げられるべきものです。

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Björk『Vespertine』(2001)|氷と静寂に包まれた2000年代アート・ポップ

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Björkビョーク)の2001年作『Vespertine』は、彼女の長いキャリアの中でも最も繊細で内向的なアルバムとして語り継がれています。

電子音による微細な粒子、極小リズム、透明感のあるストリングス、エモーショナルな声――そのすべてが冬の空気のように静かで、凛とした美しさを放ちます。

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Shing02『400』(2002)|J-HipHopの金字塔!バイリンガルMCの最高傑作

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日本語と英語を自在に行き来し、哲学的な言語表現と革新的なビート感覚で世界のリスナーを魅了してきた Shing02。彼が2002年にリリースしたアルバム『400』は、ローファイ、ジャズ、ブーンバップ、エレクトロニカアンビエント民族音楽、抽象ビートなど、あらゆる音楽的エレメントを横断しながらも、一貫した詩性と思想を持つ作品です。

このアルバムは、Shing02 の「旅」と「思索」を音として記録したような構成で、曲間に置かれた Xlude(エクスルード) たちが物語の場面転換のように機能し、アルバム全体に強いストーリーテリングを与えています。音響芸術作品としての完成度も高く、時間をかけて味わうほど深く響きます。

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RÜFÜS DU SOL『RÜFÜS EP』(2011)|オーストラリア発、初期インディー・ディープハウスの魅力

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RÜFÜS DU SOL(旧名:RÜFÜS)のデビュー作『RÜFÜS EP』(2011)は、彼らの音楽的アイデンティティである「揺らめくシンセ」「夕暮れ系エモーション」「ミニマルで温度のあるダンスグルーヴ」がすでに確立された重要作品です。

後の『Atlas』『Bloom』『Solace』へと続くサウンドの礎を感じられるEPであり、メロディックエレクトロニカやインディダンスを好むリスナーに強く支持されています。

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Primal Scream『Evil Heat』(2002)|ノイズとエレクトロの暴力

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Primal Screamプライマル・スクリーム)の2002年作『Evil Heat』は、彼らのキャリアの中でも最もダークで攻撃的、電子的な質感の強いアルバムとして位置づけられています。

『XTRMNTR』の過激でノイズ的な政治性を引き継ぎながら、よりクラブミュージック的なアプローチ、サイケデリックな陶酔感、インダストリアル的な荒々しさを融合した作品です。

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Fridge『Happiness』(2001)|エレクトロニカと実験音響の結晶

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Fridge の『Happiness』は、ポストロックエレクトロニカ、アコースティック質感を大胆に混ぜ合わせた、2000年代初期を代表する静謐かつ実験的なアルバムです。金属的な打楽器、グリッチノイズ、アコースティック楽器の生々しい響きが重なり、静かで内向的なのに、なぜか胸を大きく揺さぶるサウンドが広がっています。

本作はアイディアと音像の豊かさから、音楽好きの間でも“隠れた傑作”として語られる1枚です。

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Five Finger Death Punch『And Justice For None』(2018)|グルーヴ・メタルの進化系

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FIVE FINGER DEATH PUNCH(以下FFDP)の2018年作『And Justice For None』は、
バンド内部のトラブル、レーベルとの対立、ヴォーカリスト Ivan Moody の離脱と復帰など、混乱と葛藤の渦中で生まれた問題作にして重要作です。

しかし本作は単なる“紛争の産物”ではありません。

むしろ FFDP が長年磨き上げてきた要素――攻撃的なメタルサウンドアリーナロック級のキャッチーさ、シリアスな歌詞、哀感、怒り、救済のテーマ――それらすべてが集約された作品でもあります。

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