出典:YouTube
Massive Attack の『Protection』が好きなら、一度は聴いてほしい作品があります。それが、1995年にリリースされた『No Protection』です。
本作は、Massive Attack の2nd アルバム『Protection』を、ジャマイカのダブ・プロデューサーであるMad Professor が大胆にリミックスした作品です。
ただのリミックス・アルバムと思って聴くと、その音の変化に驚くはずです。
原曲にあったメロディやボーカルを残しながら、ベースを強調し、ドラムをエコーで飛ばし、ボーカルを空間の奥へ引き込み、音そのものを分解して再構築しています。
その結果、『Protection』が持っていた都会的でメランコリックなトリップホップが、よりダークで煙たいダブへと姿を変えています。
「同じ曲なのに、ここまで別物になるのか」。そんなリミックスの面白さを存分に味わえる一枚です。
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アーティストについて
Massive Attack
Massive Attack は、1980年代後半にイギリスのブリストルで結成された音楽グループです。ヒップホップ、レゲエ、ソウル、ファンク、エレクトロニックミュージックの要素を融合させ、トリップホップのパイオニアとして世界的な名声を確立しました。
彼らの音楽は、深みのあるベースライン、浮遊感のあるシンセサイザー、独特のサンプリング、複数のボーカリストが織りなす気だるくメランコリックな雰囲気が特徴です。
Mad Professor
Mad Professor(本名:Neil Fraser )は、イギリスを拠点に活動するガイアナ出身のダブ・レゲエプロデューサー、エンジニアです。
彼のサウンドは、伝統的なレゲエ・ダブの手法に、エレクトロニックな要素や独自の奇抜なエフェクト処理を組み合わせたもので、非常に独創的です。
彼が主宰するレーベル「Ariwa Sounds」からは、数多くの革新的なダブ作品がリリースされており、ダブ・レゲエ界のレジェンドとして知られています。
アルバムの特徴・個性
『No Protection』最大の特徴は、Massive Attack のトリップホップをMad Professor が完全に「ダブの音楽」として再構築していることです。
ベースはより太くなり、ドラムには深い残響が加わる。さらに、原曲にはなかった音が突然現れては消えていく。
これは単純に音を足したリミックスではありません。曲の「空間そのもの」を作り変えているのです。
そして面白いのが、Massive Attack の持っていた「夜」「都会」「孤独」といったイメージが、ダブ化されることでさらに濃くなっていることです。
『Protection』が夜の街を歩きながら聴きたくなる作品だとすれば、『No Protection』は、その夜の街を少し離れた場所から眺めているような感覚があります。
1995年という時代に、イギリスのトリップホップとジャマイカのダブ文化がこれほど自然に接続したことも、本作の大きな意義です。
『No Protection』トラックリスト
1. Radiation Ruling the Nation
2. Karmacoma
3. Trinity Dub
4. Cool Monsoon
5. Eternal Feedback
6. Moving Dub
7. I Spy
8. Backward Sucking
こんな人におすすめ!
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トリップホップとダブの融合に興味がある人
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深遠で瞑想的なエレクトロニックミュージックを求める人
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既存の楽曲が大胆に再構築される過程に魅力を感じる人
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夜のリラックスタイムや、集中して作業したい時に聴く音楽を探している人
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音楽の可能性を追求する実験的な作品に触れたい人
同じ系統の楽曲・アルバム5選
1. Thievery Corporation『The Mirror Conspiracy』
ワシントンD.C.を拠点とするデュオによる、ダブ、ボサノヴァ、ジャズ、エレクトロニックミュージックを融合させた作品。異国情緒あふれるサンプリングと多国籍なヴォーカリストの起用が特徴。
2. Rhythm & Sound『Rhythm & Sound』
ベルリンのダブ・テクノ・デュオによる作品。極限までミニマルに削ぎ落とされたリズムと深遠なベースライン、圧倒的なディレイとリバーブが特徴。
3. Portishead『Dummy』
ブリストル出身のトリップホップバンドのデビューアルバム。ダークでシネマティックなサウンドスケープと憂鬱なヴォーカルが特徴。
4. Adrian Sherwood & Dub Syndicate『Stoned Immaculate』
レゲエ・ダブを基盤としつつも、より実験的でインダストリアルな要素も取り入れたサウンドが特徴。音の解体と再構築の哲学の源流の一つであり、純粋なダブの深淵さを体験できる。
5. Burial『Untrue』
ロンドンを拠点とする謎のプロデューサーによる、ダークでゴーストリーなダブステップ作品。音響空間の構築やヴォーカルの断片化、深遠なリバーブとディレイの使い方はMad Professor のアプローチに通じるものがある。
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まとめ
『No Protection』は、単なる『Protection』のリミックス盤ではありません。
Mad Professor は原曲のメロディやボーカルを素材として使いながら、ベース、ドラム、エコー、ディレイを駆使して、まったく別の音響空間を作り上げています。
だからこそ、同じ楽曲を使っているのに聴いたときの印象は大きく異なります。
『Protection』が持っていた都会的な美しさは、『No Protection』になるとより煙たくダークで、深いものへと変化します。
そして、この作品を面白くしているのが、トリップホップとダブという一見異なる音楽文化が、非常に自然につながっていることです。
ダブやレゲエ、エレクトロニカを掘り下げたい人にとっても面白い入口になります。
夜に照明を落として、音の空間そのものに浸りたい。そんなときにぴったりの、1990年代トリップホップ/ダブの隠れた名盤です。