出典:YouTube
The Bloody Beetrootsの2013年作『Hide』は、エレクトロ・ハウス、パンクロック、クラシック、ポップスなど多種多様なジャンルを爆発的に融合させた意欲作です。
「エレクトロ・パンクの象徴」だった初期の荒々しさに加え、ライブバンドとしてのスケール感と深い音楽性が加わり、単なるEDMアルバムには収まりきらない表現が飛び出します。
特に今作は、Paul McCartney、Peter Frampton、Tommy Leeなど異様なほど豪華ゲストが集結したことでも知られています。エレクトロシーンが世界的に拡大する中で、The Bloody Beetroots(=Sir Bob Cornelius Rifo)がアーティストとして大きな転換点を迎えた作品とも言えるでしょう。
🎧 Amazon Music Unlimitedで『Hide』を聴く
アーティストについて
The Bloody Beetrootsは、イタリア出身のプロデューサーSir Bob Cornelius Rifoを中心としたプロジェクトです。
デビュー当初はエレクトロクラッシュとパンクロックを掛け合わせたサウンドで注目を浴び、Justice、MSTRKRFT、Boys Noizeと共に2000年代後半のエレクトロ・ムーブメントを牽引しました。
後にバンド編成も含むライブプロジェクトとして拡張し、マスクを着用した強烈なビジュアルと、身体性の高いライブパフォーマンスで世界的支持を獲得していきます。
『Hide』はその中でも最も音楽的野心が強いアルバムであり、Rifoの作曲能力とロック的精神が最大限に発揮された作品となっています。
アルバムの特徴・個性
『Hide』をひと言で表すなら、“エレクトロ・パンク+オーケストラ+ロック+ポップのハイブリッド・モンスター”です。
特徴は以下の通りです。
-
オーケストレーションやアコースティック楽器を大胆に導入
-
クラシック〜パンクまでを一つの文法で統合するサウンドデザイン
-
ゲスト陣の個性を存分に活かした曲作り
-
初期の暴力的エレクトロの進化形としてのハイブリッド感
-
ライブパフォーマンスを前提としたダイナミックな構成
特に「Church of Noise」のような攻撃的なトラックから、「Out of Sight」のようなポップでメロディアスな楽曲まで幅広い表現が詰まっており、The Bloody Beetrootsのキャリアの中でも多面的な魅力が最も明確に現れています。
『Hide』全曲レビュー
1. Spank
-
ジャンル: エレクトロ・パンク / エレクトロ・ハウス
-
特徴:オープニングからして凶暴なビートが炸裂する一曲。歪んだシンセと激しいキックが絡み合い、アルバム全体の方向性を象徴するようなスピード感と攻撃力を持つ。短い構成ながらも緊張感が高く、リスナーを一気に『Hide』の世界へ引き込む。
2. Raw
-
ジャンル: エレクトロ・ロック
-
特徴:その名の通り“生々しい”音像が際立つトラック。荒々しいベースラインとパンク的なエネルギーが全編を貫き、無骨ながらもキャッチーなフックを備えている。ライブ映えするタイプの楽曲で、身体が自動的に反応してしまう衝動性を持つ。
3. Runaway
-
ジャンル: シンセ・エレクトロ / オルタナティブ
-
特徴:シンセのリフが印象的で、疾走感とメロディアスな構成が共存した楽曲。ボーカルラインが切なく、アルバムの中でもエモーションを強く感じられるナンバー。躍動するビートと叙情的な空気が絶妙に交差する。
4. Chronicles of a Fallen Love
-
ジャンル: エレクトロ×ポップ / Emotional EDM
-
特徴:Greta Svabo Bechを迎えた代表的なメロディック・ナンバー。透明感のあるボーカルとドラマティックなシンセワークが融合し、The Bloody Beetrootsの“哀しみの表現”が最も際立っている。
5. The Furious
-
ジャンル: パンク・ロック / エレクトロ・クロスオーバー
-
特徴:ハードコア寄りのパンクサウンドとエレクトロが激突するような一曲。スピード感、シャウト気味のボーカル、荒れ狂うギターが印象的で、モッシュピットを想起させる破壊力を持つ。
6. Out of Sight
-
ジャンル: オルタナティブ・ロック / エレクトロ
-
特徴:Paul McCartneyと Youthの参加が話題となった楽曲。ストレートなロックの系譜にありながら、The Bloody Beetroots らしいデジタルエッジが加わり、クラシックとモダンが絶妙に交じり合う稀有なトラックとなっている。
7. Albion
8. Reactivated
-
ジャンル: エレクトロ・ハード / ダンスロック
-
特徴:アップテンポなビートと鋭利なリフが連打される攻撃的トラック。特にドロップの勢いが強く、ダンスフロア仕様のパワーが全開となっている。
9. All the Girls (Around the World)
-
ジャンル: パーティーエレクトロ
-
特徴:キャッチーで明るいエレクトロナンバー。タイトルの通り“世界中の女の子”をテーマにしたポップさも感じられ、アルバムの激しさの中に軽やかな側面をもたらしている。
10. Please Baby
-
ジャンル: エレクトロ・ロック
-
特徴:ざらついたギターサウンドとエレクトロビートが絡み合う硬派なナンバーである。ボーカルの存在感が高く、パンク寄りの歌い回しも印象的。
11. Glow In the Dark
-
ジャンル: EDM / エレクトロ・ハウス
-
特徴:フロア直撃の大箱系エレクトロトラック。キラキラしたシンセの中にダークな質感が混在し、The Bloody Beetroots の世界観を象徴する“光と影のコントラスト”が堪能できる。
12. The Source
-
ジャンル: インダストリアル×エレクトロ
-
特徴:金属的で荒々しいサウンドが支配するトラック。重量級のビートと無機質な電子音が交錯し、冷たさと緊張感の強い構成となっている。
13. The Beat
-
ジャンル: エレクトロ・ファンク
-
特徴:ダンサブルなビートとファンキーなシンセフレーズが特徴の軽快な一曲。アルバム後半の中でもリズムの心地よさが際立っている。
14. Rocksteady
-
ジャンル: ロカビリー×エレクトロ
-
特徴:“Rocksteady”の名にふさわしく、ヴィンテージロックと電子音がハイブリッド化されたユニークな楽曲。ギターリフと跳ねたビートがクセになる。
15. Volevo un gatto nero (You Promised Me)
-
ジャンル: イタロポップ×エレクトロ
-
特徴:イタリアンポップの軽やかさとシンセのポップ感が融合した異色曲。メロディが耳に残りやすく、アルバムの中でもキャラクターが強い。
16. A Prayer
-
ジャンル: エレクトロ×アンセム
-
特徴:祈りというテーマにふさわしい荘厳な空気を持つ楽曲。ドラマティックなシンセと重厚なリズムがじっくりと展開し、アルバムの終盤を締めくくるに相応しいスケール感がある。
17. Keep On Dancing
-
ジャンル: エレクトロハウス
-
特徴:タイトルの通りダンスに特化したトラック。グルーヴが強く、反復するフレーズが身体を自然と揺らす。クラブでの爆発力を感じさせる一曲。
18. Til Death Do Us Part
-
ジャンル: オルタナティブ・エレクトロ
-
特徴:エモーショナルでダークな空気が漂うクロージング曲。愛と死をテーマにした世界観が漂い、陰影の深いメロディがアルバムの余韻として美しく残る。
こんな人におすすめ!
-
パンクのエネルギーとEDMの躍動感の両方が好きな人
-
Justice、Boys Noize、The Chemical Brothersなどのアグレッシブなエレクトロが好きな人
-
メロディと破壊力が両立したダンスミュージックを探している人
-
バンド的スケール感のあるEDMが聴きたい人
-
ゲストボーカルが多いアルバムが好きな人
同じ系統の楽曲・アルバム5選
1. Justice『†(Cross)』
フレンチエレクトロの金字塔であり、攻撃的なシンセサウンドとロック的マナーを融合した作品。重厚な低音とバロック調のサウンド構築がThe Bloody Beetrootsのルーツと近い。
2. MSTRKRFT『The Looks』
荒々しいエレクトロハウスが詰まったエネルギッシュなアルバム。ロック的リフの使用やノイズの質感が『Hide』と強く共鳴する。
3. Boys Noize『Oi Oi Oi』
インダストリアル寄りの質感とアシッドなエッジが特徴。硬質なビートと攻撃的サウンドが好きなリスナーには相性抜群。
4. The Chemical Brothers『Further』
ロックとエレクトロを高次元で接続したサイケデリックな作品。音楽的スケールの大きさとエモーションの強さが『Hide』にも通じる。
5. Digitalism『Idealism』
メロディアスなエレクトロロックの名盤であり、疾走感とキャッチーさが魅力。ダンスミュージックとロックの融合を聴きたい人に最適。
この記事で紹介したアルバム
▶ 配信サービスで聴く
🎧 Amazon Music Unlimited
🎧 Apple Music
🎧 Spotify
▶ 作品を買う
まとめ
『Hide』は、The Bloody Beetrootsのキャリアの中でも最もスケールが大きく、ジャンル横断的な挑戦を詰め込んだモンスターアルバムです。
パンクの衝動、エレクトロの破壊力、ポップの強度、クラシックの壮大さが共存し、2010年代のエレクトロシーンを語る上で欠かせない一枚となっています。
音楽的冒険心に満ちた作品を求めるリスナーにとって、間違いなく聴く価値のあるアルバムです。
